新しいシステム導入や既存システムの改善を検討している際、「システムエンジニア」と「インフラエンジニア」のどちらが自社に必要か迷われる方も多いのではないでしょうか。
両者の役割や専門性は異なるため、適切な人材を選ぶことがプロジェクトの成功には不可欠です。
本記事では、ITエンジニア歴13年の筆者がシステムエンジニアとインフラエンジニアの違いや、具体的な担当業務やスキルについてわかりやすく解説します。
自社にとって最適なエンジニア人材を確保するため、ぜひ参考にしてみてください。
システムエンジニアとインフラエンジニアの基本的な違い
システムエンジニアとインフラエンジニアはどちらもIT系の職種として知られていますが、その役割や業務内容は大きく異なります。滞りなくシステム開発・運用を行うために、両者の違いを理解しておくことが大切です。
システムエンジニアとは
システムエンジニアは、クライアントの要望に基づきシステムの設計・開発・テスト・運用保守など、システム開発の全工程に関わります。
主にプログラミング、システム設計などのスキルが求められます。顧客とのコミュニケーションを取りながら、アプリケーション部分の設計図を描く役割を担い、開発チームの一員としてプロジェクトを進めます。
インフラエンジニアとは
インフラエンジニアは、システムを動かすための基盤となるサーバー、ネットワーク、データベースなどの設計・構築・運用・保守を担当します。
サーバーの構築やネットワークの設計、セキュリティ対策、パフォーマンス監視など、システムが安定して稼働するための環境を整備し、維持する役割を担います。 主にサーバー、ネットワーク、データベースに関する専門知識や、トラブルシューティング能力が求められます。
システムエンジニアとインフラエンジニアの役割・担当業務の違い
システムエンジニアとインフラエンジニアはどちらもシステム開発において重要な役割を担いますが、その担当業務は大きく異なります。それぞれの役割・担当業務を詳しく見ていきましょう。
項目 | システムエンジニア | インフラエンジニア |
役割 | システムの設計・開発 | システム基盤の構築・運用・保守 |
担当業務 |
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システムエンジニアの役割・担当業務
システムエンジニアの主な役割は、クライアントのニーズを理解し、それを実現するためのシステムを設計・開発することです。具体的な担当業務は以下の通りです。
要件定義
クライアントとの綿密な打ち合わせを通して、システムに求められる機能や性能、制約条件などを明確に定義します。システム開発の最初の段階であり、プロジェクトの成功を左右する重要な工程です。
システム設計
要件定義に基づき、システム全体のアーキテクチャやデータベース設計、画面設計、機能設計などを行います。開発チームが円滑に開発を進められるよう、詳細な設計書を作成します。
プログラミング
設計書に基づき、実際にプログラムコードを記述します。使用するプログラミング言語やフレームワークは、システムの要件や特性に合わせて選定します。
テスト
開発したシステムが設計書通りに正しく動作するかを確認するため、さまざまなテストを実施します。単体テスト、結合テスト、システムテストなど、複数の段階を経てシステムの品質を保証します。
運用・保守
システムリリース後、システムの安定稼働を維持するための運用・保守作業を行います。具体的には、バグ修正、機能追加・改善、パフォーマンス改善などを行い、システムを継続的に改善させていきます。また、ユーザーからの問い合わせ対応や技術的なサポートなども担当する場合もあります。
インフラエンジニアの役割・担当業務
インフラエンジニアの主な役割は、システムが安定して稼働するための基盤となるインフラを構築・運用・保守することです。具体的な担当業務は以下の通りです。
サーバー設計・構築
システム要件に基づき、最適なサーバーの選定、サイジング、OSやミドルウェアのインストール、設定などを行います。仮想化技術やクラウドサービスを活用したサーバー構築も重要な業務です。
ネットワーク設計・構築
システムを支えるネットワークインフラの設計・構築・設定を行います。ルーター、スイッチ、ファイアウォールなどのネットワーク機器の選定、設定、接続、セキュリティ対策などを担当します。
データベース設計・構築
システムで利用するデータベースの設計・構築・管理を行います。データモデル設計、データベースソフトウェアのインストール、設定、パフォーマンスチューニング、バックアップ/リカバリ設定などを担当します。
セキュリティ対策
システムを不正アクセスやサイバー攻撃から守るためのセキュリティ対策を実施します。ファイアウォール、IDS(不正侵入検知システム)/IPS(不正侵入防御システム)、ウイルス対策ソフトなどのセキュリティ機器の導入・設定、脆弱性診断、セキュリティポリシー策定などを担当します。
パフォーマンス監視・チューニング
システムのパフォーマンスを監視し、必要に応じてチューニングを行います。パフォーマンスボトルネックの特定、リソースの最適化、データベースチューニングなどを行い、システムの安定稼働を維持します。
障害対応
システム障害発生時には、迅速な原因究明と復旧作業を行います。ログ分析、システム監視ツールなどを活用し、障害の根本原因を特定し適切な対処を行います。また、再発防止策の検討も重要な業務です。
システムエンジニアとインフラエンジニアのスキルの違い
システムエンジニアとインフラエンジニアは、異なる役割を担うため必要とされるスキルも大きく異なります。
項目 | システムエンジニア | インフラエンジニア |
スキル |
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システムエンジニアの保有スキル
システムエンジニアは、主にアプリケーション開発に関するスキルが求められます。
クライアントの要望を的確に捉え、それを実現するためのシステムを設計・開発し、円滑にプロジェクトを進めるためのコミュニケーション能力も重要です。
プログラミング
Java、Python、PHP、Rubyなど、開発するシステムに適したプログラミング言語の知識と開発経験が求められます。様々なフレームワークやライブラリを使いこなせることも重要です。
データベース設計、操作
アプリケーションの要件に応じたデータベースの設計やSQLの活用、パフォーマンスの最適化といった「データの活用」に関するスキルが必要です。
要件定義
クライアントの要望をヒアリングし、正確に理解しシステム要件として明確に定義する能力が求められます。曖昧な要件を明確化し、開発範囲を確定するスキルも必要です。
設計
システム全体のアーキテクチャ設計、アプリケーション設計、UI/UX設計など、多岐にわたる設計スキルも必要です。ユーザーにとって使いやすいシステムを設計する能力が重要となります。
テスト
システムの品質を保証する、テストケースの作成・実施スキルも重要な要素です。様々なテスト手法を理解し、適切なテストを実施する能力が求められます。
インフラエンジニアの保有スキル
インフラエンジニアは、システム基盤の構築・運用・保守に関するスキルが求められます。
システムの安定稼働やセキュリティ対策のため幅広い知識と、問題発生時には迅速に対応できるトラブルシューティング能力が重要です。
OS
WindowsやLinuxのシステム構築、設定、トラブルシューティングに関するスキルが求められます。具体的には、ユーザー管理やファイルシステムの操作、ネットワーク設定、セキュリティ設定、ログ分析を行い、システムの正常な稼働を維持する能力です。また、Linuxではコマンドでの操作が特に重視されます。
クラウド
AWS、Azure、GCPなどのクラウドプラットフォームの知識と構築・運用スキルが重要です。クラウドネイティブなシステム構築や、クラウドサービスを活用した効率的なインフラ運用能力が求められます。
サーバー、ネットワーク管理
サーバーでは構築・設定・運用保守、ネットワークでは設計・設定・監視のスキルが求められます。特に、サーバーではOSやミドルウェアの設定、バックアップ管理が必要で、ネットワークではルーティング、スイッチング、トラブルシューティングの能力が重視されます。
データベース管理
データベースの構築や設定、監視、セキュリティ管理など「データベースを安定して支える基盤」に関するスキルが必要です。また、パラメーターチューニングによるパフォーマンス改善のスキルも重要です。
セキュリティ対策
ファイアウォールやIDS(不正侵入検知システム)/IPS(不正侵入防御システム)などのセキュリティ製品の運用、脆弱性診断や対策など、幅広い知識が求められます。
トラブルシューティング
障害発生時の迅速な原因特定と復旧作業も重要なスキルの1つです。ログ分析やパフォーマンス監視ツールなどを活用し、問題の根本原因を特定し解決する能力が求められます。
システムエンジニアとインフラエンジニアが必要なケースの違い
システムエンジニアとインフラエンジニアは、それぞれ得意とする分野が異なるため必要とされるケースも異なります。
適切なエンジニアを選ぶことで、プロジェクトをスムーズに進めることができます。
項目 | システムエンジニア | インフラエンジニア |
必要とされるケース |
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システムエンジニアが必要なケース
システムエンジニアは、主に新しいソフトウェアを開発したり、既存のソフトウェアを改善したりする必要がある場合に必要とされます。
新規アプリケーション開発
新しい要望に対応するためのアプリケーション開発が必要な場合です。
顧客の要望を詳細にヒアリングし、要件定義、設計、開発、テストまで一貫して担当します。Webアプリケーション、モバイルアプリケーション、デスクトップアプリケーションなど、様々な種類のアプリケーション開発に対応できます。
既存アプリケーション改修
既存アプリケーションに機能追加やバグ修正、パフォーマンス改善などの改修が必要な場合です。
既存のコードベースを理解し、効率的かつ安全に改修を行う必要があります。
業務効率化のためのシステム開発
社内業務の効率化や自動化を実現するためのシステム開発が必要な場合です。
業務フローを分析し、最適なシステムを設計・開発することで、生産性向上に貢献することができます。
インフラエンジニアが必要なケース
インフラエンジニアは、システムを支えるインフラストラクチャの構築・運用・保守・改善が必要な場合に必要とされます。
新規サーバー構築/既存サーバー更改
新しいサーバーを導入・構築する場合、または既存サーバーの老朽化に伴う更改が必要な場合です。
サーバーの選定、OSやミドルウェアのインストール、設定、セキュリティ対策などを担当します。
ネットワーク構築/更改
新しいネットワークを構築する場合、または既存ネットワークの変更・拡張、更改が必要な場合です。
ネットワーク機器の選定、設定、セキュリティ対策、パフォーマンス最適化などを担当します。
クラウド移行/導入
オンプレミス環境からクラウド環境への移行、またはクラウドサービスの導入・運用が必要な場合です。
クラウドプラットフォームの選定、移行計画の策定、システム構築、運用保守などを担当します。
セキュリティ強化
システムのセキュリティ強化が必要な場合です。
脆弱性診断、セキュリティ対策の実施、セキュリティ機器の導入・設定などを担当します。
パフォーマンス改善
システムのパフォーマンス低下が課題となっている場合です。
ボトルネックの特定、パフォーマンスチューニング、ハードウェアの増強などを検討し、改善策を実施します。
大規模障害発生時
システムに大規模な障害が発生した場合です。
原因究明、復旧作業、再発防止策の立案などを担当します。
システムエンジニアとインフラエンジニアの採用難易度の違い
ITエンジニアの需要は高く、システムエンジニアとインフラエンジニアともに採用難易度は高い傾向にありますが、難易度に差はあるのでしょうか。
そもそもITエンジニアは採用難易度が高い
ITエンジニア全体の採用難易度は、他の職種と比較して高い水準にあります。
東京ハローワークによると、直近1年でITエンジニアを含むIT技術関連職の求人倍率は3.0以上と、全職種平均を大きく上回っています。これは、IT人材の需要に対して供給が追い付いていないことを示しています。
参考:東京ハローワーク | 職業別有効求人・求職状況(一般常用)
また、経済産業省の調査資料によれば、ITエンジニア不足は今後も続く見通しであり採用競争はさらに激化すると予想されます。
出典:経済産業省
インフラエンジニアの採用難易度は比較的高い
システムエンジニアに比べて、インフラエンジニアの採用は比較的難しい傾向にあります。その理由として、以下の点が挙げられます。
インフラエンジニアの流動性の低さ
インフラエンジニアは、一度企業に定着すると長く勤める傾向があります。
そのため、転職市場に出回るインフラエンジニアの数が少なく、出回ったとしてもすぐに就職先が決まる場合が多く、採用に苦労するケースが多いです。
高度な専門性と進化する技術への対応が求められる
クラウドコンピューティング、コンテナ技術、セキュリティ対策など、インフラ技術は常に進化を続けています。
これらの新しい技術に対応できる高度な専門知識とスキルを持った人材が不足しており、企業は経験豊富なインフラエンジニアの確保に苦戦する状況が今後も続くと考えられます。
特に、クラウド分野の需要拡大やセキュリティ対策の強化に伴い、高度なスキルを持つインフラエンジニアの需要はますます高まっています。
関連記事:インフラエンジニアの求人倍率と動向を確認|効率的な採用方法も解説
関連記事:インフラエンジニアの採用が難しい理由と優秀な人材を獲得する方法を解説
企業から見たフリーランスのインフラエンジニアのメリット
IT人材の不足が深刻化する中、解決策の1つはフリーランスのインフラエンジニアを活用することです。
特に、正社員採用における課題、例えば採用コストの高さや採用スピードの遅さ、育成期間の長さといった問題をクリアできる可能性がある点が魅力です。
ここでは、フリーランスのインフラエンジニア採用に関する具体的なメリットを説明します。
人材の流動性が高い
経験豊富でスキルが高い人材が多い
コスト削減できる
人材の流動性が高い
フリーランス市場では、経験豊富で優秀なインフラエンジニアが自身のキャリアプランや希望条件に合ったプロジェクトを探し、流動的に活動しています。
そのため企業は、正社員の中途採用よりもプロジェクトにマッチするスキルをもつフリーランスのインフラエンジニアを比較的早く見つけられる可能性が高いです。
また、必要な期間だけ契約できるため、人材確保の柔軟性も高まります。
経験豊富でスキルが高い人材が多い
フリーランスのインフラエンジニアは、様々なプロジェクトで経験を積んでいるため、高いスキルと幅広い知識を持つ人材が多い傾向があります。
そのため、特定分野の専門家や最新技術に精通したエンジニアなど、企業のニーズに合った即戦力人材が見つかる可能性が高いでしょう。
コスト削減できる
正社員雇用では、給与に加えて社会保険料、福利厚生費など、様々なコストが発生します。
フリーランスであれば、契約期間中の報酬のみで済むためコストを削減できます。必要なスキルをもつ人材を必要な期間だけ契約することで、人件費の削減、最適化が可能になります。
インフラエンジニアの即戦力採用ならクロスネットワークがおすすめ
この記事では、システムエンジニアとインフラエンジニアの違いについてさまざまな角度から解説してきました。
採用に関して言えば、特にインフラエンジニアの場合は高い専門性と技術の進歩の速さから困難な状況が続いています。しかし、フリーランス人材に目を向けてみると、課題がクリアになるかもしれません。
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インフラエンジニア兼Webライター。金融業界の汎用機系エンジニアとしてキャリアをスタート。その後Web系システムのクラウド分野に転向し独立。本職の傍らSEOを学び、ライティングやディレクションの一部業務も経験。得意分野はAWS。