
ネットワークインフラを構築、運用するためには高度な技術が求められます。加えて近年はネットワークエンジニアが不足しているため、自社人材のスキルアップで補おうと考えている企業も多いはずです。
一方で「社員にどのようなスキルを取得させるべきかわからない」「そもそもスキルアップする手段を知らない」という経営者も少なくありません。闇雲に新しいこと学ばせて教育投資が無駄になるのは避けたいもの。
そこで本記事では以下の内容について解説します。
ネットワークエンジニアの仕事内容
ネットワークエンジニアに求められるスキル
必要なスキルを習得する方法
スキルアップ以外に即戦力を確保するルート
本記事を最後まで読めば、自社のネットワークエンジニアにどのようなスキルを習得させるべきか判断できます。自社人材のネットワークスキル向上にお悩みの中小企業経営者は、参考にしてください。
ネットワークエンジニアとは
ネットワークエンジニアとは、ITインフラを構成するネットワークを開発するエンジニアのことです。要件を満たすサーバー構成でネットワークを設計し、構築後は安定稼働できるよう運用保守します。
近年はクラウド技術の浸透により、より高度なネットワーク技術が必要とされつつあります。それに伴い、あらゆる側面から第三者に攻撃されるリスクも高まっているため、セキュリティの知識も不可欠です。
また、近年はAIや5Gの誕生により、あらゆるモノが高度な制御技術でインターネットに接続されています。これらの技術は発展途上のものも多く、ネットワークエンジニアは常にキャッチアップする姿勢が求められています。
インフラエンジニアとの違い
比較項目 | ネットワークエンジニア | インフラエンジニア |
業務内容 | ネットワークの設計・構築 | ITインフラ全体の設計 |
ネットワークエンジニアと混同されやすいインフラエンジニアですが、両者の違いを比較してみました。
ネットワークエンジニア:ネットワークシステムの設計・運用・保守が専門
インフラエンジニア:ITインフラ全体を包括的に設計・構築
両者のおおきな違いは、責任範囲が異なることです。ネットワークエンジニアは文字通りネットワークが安定稼働できるよう設計し、専用機器を使って構築することが主たる業務です。
一方、インフラエンジニアはサーバー、データベースの設計・構築、セキュリティシステムの導入など担当業務が広範囲に及ぶのが特徴。ネットワークも含めてシステム全体が安定稼働できるよう、性能監視やハードウェアの改修、セキュリティのアップデートなどの役割を担います。
つまり、インフラエンジニアの領域にネットワークエンジニアがいるような位置づけと言えます。
関連記事:ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの違いとは?採用ポイントも解説
システムエンジニアとの違い
比較項目 | ネットワークエンジニア | システムエンジニア |
業務内容 | ネットワークの設計・構築 | 要件定義 |
システムエンジニアも、ネットワークエンジニアと並んでよく登場する職種です。両者の役割は以下のとおりです。
ネットワークエンジニア:要件通りのネットワークの設計から運用保守までを担当
システムエンジニア:システム開発の上流から下流まで全工程に関わる
おおきな違いは守備範囲が異なること。ネットワークエンジニアは、ネットワークを安定稼働できるよう設計から運用保守まで担うエンジニアです。
システムエンジニアは、ネットワーク上で動くシステムの開発に携わるエンジニアです。具体的には、システム要件を満たせるようアプリケーションを設計し、プログラミングしてシステムをリリースします。
このように、ネットワークエンジニアとシステムエンジニアの領域は異なることを押さえておきましょう。
ネットワークエンジニアの仕事内容
ネットワークの構造は複雑で、ネットワークエンジニアの業務も多様化しています。ここではネットワークエンジニアの仕事内容を紹介します。
要件定義
設計
構築
運用保守
要件定義
要件定義とは、どのようなネットワークを実現したいか具体化する工程のことです。
たとえば、工場の建設に伴いネットワークを構築するとした場合、以下のような要件が想定されます。
事務所が1つと整備場が2つあり、整備場の幅は100mと幅が広い
事務所は本社とのやりとりが必要なので社外ネットワークへの接続が必要
各整備場にPCを3台設置して事務所との通信にのみ利用したい
客先や現場からも社内データベースにアクセスできるようにしたい
要件定義では依頼主と開発側の密なコミュニケーションが重要。後になって「一部のPCが社外に接続されていない」「思ったより通信速度が遅い」などのトラブルに発展する可能性があるからです。抜けや漏れなく要件をまとめて、技術的に可能か精査することがネットワークエンジニアの責務です。
設計
出典:同志社大学
設計とは、要件定義で固めた内容を構築で実現するためにネットワークの大枠を決めることです。
設計では、上のようなネットワーク構成図を作るのが一般的。具体的には機器の配置・配線を示した物理構成図とポートの接続関係を示した論理構成図を作成します。そのほかにも、各機器の機能や役割、構築目的を定義づけするのも設計業務の一つです。
設計は依頼者が開発側に積極的に関われる最終フェーズ。ここで認識の齟齬がないかしっかり擦り合わせすることも、ネットワークエンジニアの仕事です。
関連記事:ITインフラの設計とは?構築との違いと流れ・外注のポイントを紹介
構築
設計が終わったら現地でネットワークを構築します。必要な機材を使って設計通りにパラーメータを入力し、テスト準備をします。
構築で大切なのは入念な事前準備です。ネットワーク構築は大規模な割に作業時間に余裕がない傾向にあるからです。とくに既存ネットワークの改修は現行システムに影響が出ないよう施工しなければいけないため、構築前にあらゆるリスクを精査します。
仮設定で機器同士が正しく通信できているか
OSのセットアップ・インストールは可能か
作業環境の制約(昼間の工事ができない・作業場所が狭いなど)はないか
また、どのメンバーが作業しても無事構築できるよう、作業計画書も用意しなければいけません。各タスクの内容や作業時間・確認項目を詳細に記載して、誰もが理解できるよう準備することもネットワークエンジニアの仕事です。作業が無事終了したら要件を満たしているかテストして構築は完了です。
関連記事:ITインフラの構築とは?設計との違いと流れ・外注のポイントを解説
運用保守
ネットワークは構築したらそれで終わりではなく、むしろリリースしてからが本番と言えます。
運用保守とはネットワークを安定して利用するために、管理・監視したり機器を改修したりすることです。具体的な業務内容を下の表にまとめました。
運用保守の主な業務 | 概要・特徴 | |
定例業務 | オペレーション | 社員のID・パスワード管理 |
構成管理 | ネットワーク構成図・設計書の更新など | |
障害監視 | 通信障害が発生していないか監視 | |
性能監視 | 通信量やパフォーマンスを監視 | |
定例外の業務 | 問い合わせ対応 | ネットワークに関する相談受付 |
不具合対応 | ネットワークトラブルの調査 |
ネットワークは24時間稼働しているため、休日出勤や夜勤など不規則な勤務が発生する現場も少なくありません。
また、運用保守は定型化した業務が多く、ネットワーク全体の理解に繋がりやすいことから、未経験者が起用されるケースも多いです。ただし、いざ不具合が発生した場合、業務経験の有無が復旧スピードに直結することがほとんどです。そのため、経験者も一定数確保したほうが良いでしょう。
関連記事:ITインフラ運用とは?仕事内容や保守との違い・外注のメリットについて解説
ネットワークエンジニアに必要な専門スキル
ネットワークエンジニアには高度な専門スキルが求められます。具体的に必要なスキルは以下のとおりです。
ネットワークの理解
サーバー運用スキル
セキュリティ構築スキル
クラウド運用スキル
プログラミングスキル
IoTの運用スキル
5Gを活用した構築スキル
トラブル対応力
ネットワークの理解
当然ですが、ネットワークは必須のスキルです。具体的にはLANやスイッチなどのネットワーク機器を使って構築し、要件通りに通信できるか検証する技術が必要です。
とくに必須なのが、TCP/IPと呼ばれるプロトコル(技術上のルール)の知識。TCP/IPは世界中で使われている通信規則で、規格の異なる機器やOSのやり取りを標準化しています。下の図はTCP/IPの階層を示しています。
出典:琉球大学
各階層でルールが定められており、アプリケーション層ではアプリケーションで扱うデータの型や手順、トランスポート層ではデータを正しいアプリケーションに振るなど決められています。このようなプロトコルを理解したうえで、ネットワークを構築するスキルが必要です。
サーバー運用スキル
ネットワークを構築するときには、サーバーのセットアップ・運用が必須です。具体的にはOSをインストールし、初期設定を行ってネットワークで利用できる状態にしなければいけません。
企業のネットワークで使う主なサーバーは、LinuxとWindows Serverの2つです。Linuxとは、世界中で使われているオープンソース型のサーバーOSです。柔軟なカスタマイズ性と初期コストの安さから幅広い企業で人気を得ています。
Windows ServerはMicrosoftが開発・提供しているOSです。PowershellやActive Directoryなどの高機能な管理ツールが搭載されているため、運用効率を高めることが可能。他のアプリケーションとの連携も容易で、多くの企業で導入されています。
これらのサーバーOSの理解がネットワークエンジニアには欠かせません。
セキュリティ構築スキル
安全なネットワーク運用においてセキュリティは必須のスキルです。多くのネットワークは外部に接続されており、悪意ある第三者の脅威に晒されているからです。
下の表は、情報通信研究機構(NICT)が開発した大規模サイバー攻撃観測網(NICTER)の観測攻撃数を表しています。2015年から2023年の間で、観測数が約10倍近くまで急増しています。
出典:総務省
これらの攻撃技術は常に進歩しており、最新のセキュリティ知識を取り入れる必要があります。下記にセキュリティの最新情報をまとめたサイトを載せました。ネットワークエンジニアのセキュリティ知識を問うときの参考にしましょう。
おすすめのセキュリティ情報サイト | 概要・特徴 |
サイバー攻撃の被害事例を掲載 | |
セキュリティ情報を網羅的に掲載 | |
行政システムに対する不正の監視・分析・セキュリティの確保など |
関連記事:ITインフラにおけるセキュリティとは?重要性と企業の被害事例・対策も解説
クラウド運用スキル
出典:総務省
クラウドとは、自社でネットワーク機器やサーバーを保有せず、Webサイト経由でリソースを使うサービスのことです。
導入コストと構築・運用の負担を軽減できることから、市場規模が拡大しています。下のグラフはIDC Japanが調査したパブリッククラウドの市場規模の推移で、2023年から2028年の間に約2倍になると予測しています。
出典:IDC Japan
パブリッククラウドを使うと、サービスによってはアカウントを作成するだけで利用できます。ただし、サービスや機能によっては相応の操作スキルが求められます。ベンダーによっては関連の資格試験も実施しているので、候補者が保有しているかチェックしましょう。
プログラミングスキル
プログラミングスキルもあると、ネットワークの品質向上を期待できます。
近年は構成するサーバーやネットワーク機器が増加し、それらの管理・監視を省力化するうえで自動化ツールが導入されつつあります。そして、それらを開発するためにはプログラミングスキルが欠かせません。
ネットワークエンジニアが使う主な言語は以下のとおりです。
Shell Script:Linux環境で用いられ、簡潔な構文で管理を自動化
バッチスクリプト:Windows環境で管理を自動
Python:汎用性があり、豊富なライブラリを装備
Go:高いパフォーマンスで並列処理を得意とする
Ruby:Webアプリケーション開発で人気があり、簡潔な構文で記述可能
候補者の習熟度を見極める方法は下の記事で解説しています。
関連記事:インフラエンジニアが扱うプログラミング言語とは?習熟度の見極め方も紹介
IoTの運用スキル
出典:京都大学
IoTとはモノとインターネットをつなぐ技術のことです。上の図のように、PCやタブレット端末だけでなく、カメラやモニターなど、あらゆるモノ同士で相互通信することができます。
個々のデータ通信量は比較的少ないですが、一つのシステムに多数のモノを接続するため、トータルの通信量は多くなる傾向にあります。これからのネットワーク構築においてもIoTを考慮した設計が不可欠。接続する設備とデータの中身を踏まえ、ネットワークの仕様を固めるスキルが必要です。
5Gを活用した構築スキル
5Gとは第5世代移動通信システムと呼ばれ、従来の通信方式より高速・大容量・低遅延の通信技術として注目されています。
4G回線より帯域幅が確保され、4Gの約100倍の高速通信が可能。1台の基地局に接続できるデバイス台数も4Gより10倍に増やすことができます。そのため、これまで以上に大量のデバイス・設備をインターネットに接続できるでしょう。
5Gを活用するためにはハイスペックな端末だけでなく、サーバー側の増強も不可欠です。大容量な通信に伴いネットワーク設計も複雑化するため、5Gを踏まえたネットワーク構築スキルが求められます。
トラブル対応力
残念ながら、想定通りにネットワーク構築が進むケースは多くありません。大なり小なりトラブルに直面することがあり、それに対応するスキルも必要です。
ECサイトを例に挙げると、人気商品へのアクセスが急増してサーバーがダウンする恐れがあります。また現地で構築しているときに、機器の接続を間違えて工期を圧迫する可能性も考えられるでしょう。
そのときに状況を正しく判断し、優先順位を立てて解決策を導き出すことが大切です。トラブル対応力はどれだけ実務経験を積んでいるかが重要です。未経験者の場合は前職・現職で遭遇したトラブルについて尋ね、それをどう解決したか質問しましょう。
ネットワークエンジニアに必要なヒューマンスキル
ネットワークエンジニアは専門技術だけでなく、それを生かすソフトスキルも求められます。ここでは、ネットワークエンジニアに必要なヒューマンスキルを紹介します。
プロジェクトマネジメント
コミュニケーション
ロジカルシンキング
英語力
プロジェクトマネジメント
ネットワークエンジニアの業務はプロジェクトベースで動くことが多く、上流工程ではメンバーを束ねるプロジェクトマネジメントスキルが求められます。具体的な仕事内容は以下のとおりです。
プロジェクトの目標設定
開発スケジュールの計画
取引先との調整・交渉
開発環境の構築
プロジェクトメンバーの編成
予算管理
進捗管理
リスク管理
品質管理
プロジェクトを無事完遂できるよう運営と納期、品質に責任を負わなければいけません。また、顧客や経営層など関わるメンバーも多岐に渡るため、専門知識を生かしながら高度な統率力、関係調整力も必要とされます。
コミュニケーション
ネットワークエンジニアのプロジェクトは比較的大勢のメンバーとやりとりするため、スムーズなコミュニケーション能力が必要です。
たとえば、運用中に不具合が発生した場合、上司に指示を仰げるよう詳細を正確に伝えなければいけません。また、ネットワーク構築では綿密なチームプレーが求められます。一人のメンバーがコミュニケーションを疎かにして作業を進めると、トラブルの元になります。上流工程に進むほど、専門スキル以上にコミュニケーション力が重視されるでしょう。
コミュニケーションスキルは下の表のように細分化できます。
具体的なコミュニケーションスキル | 概要・特徴 |
傾聴力 | 相手の話に真摯に耳を傾けるスキル |
理解力 | クライアントの状況を把握するスキル |
提案力 | お互いに利益がある道筋を示すスキル |
交渉力 | お互いの主張を理解して妥協点を見つけるスキル |
コミュニケーションスキルは、以下のような多角的な質問を通じてチェックすることができます。
1分以内に自己紹介をしてもらう
上司・同僚とやりとりするうえで重要なこと
自分の提案が受け入れてもらえないときの対処法
これらの質問に回答したときに「なぜ?」と掘り下げて質問すると、コミュニケーションスキルの深さを評価できるはずです。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングとは、物事の筋道を立てて解決方法を導き出すことです。
ネットワークは複雑なロジックで構成されているため、論理が破綻していると要件通りの性能を発揮できません。また、トラブルが発生したときには順序立てて原因の切り分け・特定をしなければならないので、とくにロジカルシンキングが求められます。
面接でロジカルシンキングを見極める主なポイントを下の表にまとめました。
ロジカルシンキングを見極める方法 | 概要・特徴 |
オープンクエスチョンをする | 質問に対する意見と根拠を求める質問 |
結論から話しているかチェックする | 結論+根拠で論理的思考が備わっていると判断 |
複数の回答を準備してもらう | 商談でも複数の提案が求められることがあるため |
英語力
ネットワークエンジニアにも一定の英語力が求められることがあります。ネットワークを初めとするITはアメリカを中心に海外で発展しており、その最新情報は英語で発信されるからです。
わかりやすい例でいえば、開発されたばかりのプログラミング言語のドキュメントや、それらを使うエンジニアのコミュニティが当てはまるでしょう。プロに翻訳してもらえば問題ないと思うかもしれませんが、リアルタイム性に欠けます。
一番重要なスキルは英語の読解力です。多くの最新情報はテキストベースで発信されるので、それらを読む力が求められます。続いてリスニングスキル、スピーキングスキルもあれば、海外向けの技術展や顧客との交渉で有利に動けるかもしれません。
ネットワークエンジニアの効果的なスキルアップ方法
ネットワークエンジニアに必要なスキルは理解できたけれど、それらをどう身に付けたら良いかわからない方も多いでしょう。ここでは、ネットワークエンジニアの効果的なスキルアップ方法を解説します。
スキルマップを作成する
資格を取得する
実機でネットワークを構築する
詳しい人に相談する
スキルマップを作成する
まず初めにスキルマップを作成しましょう。スキルマップとは、必要なスキルと個々のスキルを可視化することで、エンジニア自身の現在地と成長の方向性を決めるために使います。
たとえば下の表では、クラウドやセキュリティ、運用などのスキルを項目分け・定義して、習熟度を4段階で評価しています。
出典:東京デジタルアカデミー
すべての項目が最高レベルに達する必要はありません。自社の求めるスキルやエンジニアのキャリアの方向性を元に、どのスキルを伸ばすべきか見極めましょう。
資格を取得する
必須ではありませんが、資格の取得も効率的なスキルアップに適しています。メリットはネットワークの知識を体系的に学べること。原則として、資格試験には目標とするスキルが明文化されており、それらに必要な知識が問われる仕組みになっているからです。
資格を取得できれば客観的なスキル証明になるため、上流工程への昇進や他のプロジェクトへ抜擢するときの説得材料になるでしょう。
また、未経験者の資格取得は仕事への意欲を評価するバロメーターになります。難易度が高いほど採用後の伸びしろも期待できるので、資格取得を推奨する風土を作りましょう。社員に何の資格を取得させるべきかは、下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:ITインフラ業務におすすめの資格11選!取得へのロードマップ・仕事内容・即戦力の採用方法も紹介
実機でネットワークを構築する
書籍や資格の勉強だけで理解しきれないのがネットワークの難しいところ。ネットワークでは数多くの機器やケーブルを使って構築・設定するからです。そのため、実際にサーバーやケーブルを使って自分なりに構築してみることが重要です。
個人経営店や大学の研究室など小規模なネットワークでも、以下の壁に当たることは珍しくありません。
マニュアル通りに設定しても通信ができない
ケーブルを誤配線して一部のPCが隔離されている
ケーブルの本数と長さが足りない
サーバーOSで見たことのないコマンドが表れる
これらのトラブルは実機を使うことで初めて経験できます。ネットワーク全体の理解や異常時対応力もセットで培われるので、実際に手を動かすことが大切です。
詳しい人に相談する
書籍や業務だけでは、どこかでスキルアップが頭打ちになる可能性があります。困ったときにより詳しい人に相談することもスキルアップに繋がります。
おすすめは社外コミュニティに所属することです。とくにエンジニアは特定の技術クラブや交流会を開催していることが多く、異業種の知見も得られます。近年ではコワーキングスペースのように仕事をしながら気軽に繋がれる環境も増えているので、使わない手はありません。
少し特殊ですが、エンジニア専門のバーに通って他のエンジニアの知見を吸収するようなことも可能です。同僚や上司のように利害関係が発生しないため、ざっくばらんに話せる点が魅力です。このようにコミュニティを活用して、ネットワークに詳しい人と繋がれるようにしましょう。
優秀なネットワークエンジニアを確保する主なルート
社員のスキルアップも有効な手段ですが、早く結果を出すなら即戦力を採用することが重要です。ここでは、優秀なネットワークエンジニアを探す手段を紹介します。
採用ルート | メリット | デメリット |
転職エージェント | 幅広い人材を有している | 自社に魅力がないと相手にされない |
スカウト | 潜在層にアプローチできること | 大量採用には適していない |
SNS | 拡散力を期待できる | 即効性を期待できない |
リファラル | 採用コストを抑えられる | 担当者の意欲に左右される |
海外人材 | IT教育が進んだ国の人材を活用可能 | コミュニケーションの齟齬が発生しやすい |
転職エージェント
転職エージェントとは、転職先を探している人と企業をマッチングさせる業者のことです。
幅広い人材のなかから自社の要望にマッチした候補者を選別してくれるため、ミスマッチのリスクを抑えることができます。採用戦略や面接の一定調整などをサポートしてくれるので、採用活動の負担も軽減できるでしょう。
また、転職エージェントへの報酬は候補者の入社が決まるまで発生しません。求人広告のようにコンスタントに費用を払わなくて良いため、採用コストを削減しやすくなります。
注意点として、自社に魅力がないとまともに掛け合ってくれないことがあります。企業ブランドや年収、キャリアアップの機会など自社の強みを洗い出してアピールしましょう。
関連記事:インフラエンジニア採用にエージェントを活用するメリットと選び方を解説
スカウト
スカウト採用とは、企業自ら求職者にアプローチする採用方法です。ターゲットとなる候補者に個別に連絡を取り、候補者が同意したら選考に進みます。
メリットは潜在層とコンタクトが取れること。優秀なエンジニアは転職市場にいないこともあり、そのような人材に待遇や企業ブランドで差別化できれば、引き抜ける可能性が高まります。求める人材像もある程度固めてアプローチするため、採用後のミスマッチが起こりにくい点も特徴です。
ただし、大量採用したい企業にはおすすめできません。採用担当者と候補者が一対一でコミュニケーションを取るため、採用人数を増やすと担当者の負担がおおきくなってしまいます。人員の補充が優先される場合は、転職エージェントもあわせて活用しましょう。
関連記事:インフラエンジニアをスカウト採用するメリットや成功させる方法を解説
SNS
今ではX(旧Twitter)やFacebook、Instagramなど多様なSNSが誕生しているため、SNS経由でアプローチするのも有効です。SNSを採用活動に使うメリットは、拡散力を期待できること。たとえば、クロスネットワークの運営会社である株式会社GIGのアカウントでは、プロフィールページに募集要項を掲載しています。
出典:株式会社GIG公式X
求人サイトだと登録者しか閲覧できませんが、SNSであればより不特定多数の層にアプローチできます。
また、SNSは原則無料で運用できます。継続的に発信して自社の認知度を上げるとコストパフォーマンスよく採用活動ができるでしょう。
注意点としてSNS採用の確実性は高くありません。極端な話、作りたてのアカウントだと認知されませんし、運用がうまくいかなければ他のコンテンツに埋もれてしまいます。また、炎上で自社の信用が失われる可能性もあります。投稿内容に不適切な表現がないか精査して発信しましょう。
リファラル
リファラル採用とは、社員の知人友人を紹介してもらう採用手法のことです。
メリットは採用コストを抑えられること。求人広告やエージェントの利用料が発生せず、かかるコストは社員への紹介報酬や面接などのコストのみです。
筆者の企業でもリファラル採用の一時金は一人5万円程度です。転職エージェントへの成功報酬の相場が、契約年収の1/3であることを踏まえるとかなり割安。
また、知人・友人であれば社員から自社の業務内容・職場環境の実態が伝わっている可能性が高いので、採用前後のギャップが発生しにくくなります。
なお、リファラル採用の成否は担当者のモチベーションに左右されます。本来の業務が多いと採用活動に消極的な社員も出てくるので、他の採用ルートと合わせて活用しましょう。
海外人材
海外エンジニアへのアプローチも検討したい採用ルートです。
海外では日本よりIT教育が進んでいる国も多く、その国の人材を活用することで自社のネットワーク技術を高めることを期待できます。また、国や民族的な風土の影響で成長意欲が高いエンジニアもいるので、採用すれば社内の活性化にも繋がるでしょう。
ただし、国内人材よりコミュニケーションの齟齬が発生しやすいことには注意が必要です。言語、文化、風習など多くの違いがあるため、日本の労働環境の常識が通じないことも想定されます。候補者の出身国の文化・価値観を理解し、日本の環境に馴染んでもらう体制を整えましょう。
高スキルなネットワークエンジニアを探すならクロスネットワークにご相談ください
本記事では、ネットワークエンジニアに必要なスキルと効果的な習得方法などについて解説しました。
ネットワークインフラは高度化・複雑化しており、それに応じたスキルが求められます。加えてクラウドや5G、IoTの誕生など目まぐるしく技術が変化しているため、常に勉強する姿勢も求められます。どのスキルをどうやって習得すべきか迷ったら、本記事を読み返すと良いでしょう。
一方で「社員のスキルアップに労力を割けない」「即戦力になる人材を採用したい」という企業も多いはず。
優秀なネットワークエンジニアを確保するなら、ぜひクロスネットワークにご相談ください。クロスネットワークはインフラエンジニア専門のエージェントサービスで、通過率5%と厳しい審査に合格した人材のみ在籍しています。ネットワークの設計・構築・運用に長けたエンジニアを、クライアントの要望にあわせてスムーズにマッチングします。
採用後のやりとりもサポートしますので、トラブルを回避できるのもメリット。さらに、登録しているインフラエンジニアと合意があれば、正社員登用もできます。
エージェントに相談いただければ、最短3営業日でのアサインも可能です。また、週3日程度の依頼も可能なので、自社の必要リソースにあわせて柔軟に外注できます。
こちらよりサービス資料を無料でダウンロードできます。即戦力のインフラエンジニアをお探しの方は【お問い合わせ】ください。平均1営業日以内にご提案します。
- クロスネットワークの特徴
- クロスネットワークに登録しているインフラエンジニア参考例
- 各サービスプラン概要
- 支援実績・お客様の声

新卒で大手インフラ企業に入社。約12年間、工場の設備保守や運用計画の策定に従事。 ライター業ではインフラ構築やセキュリティ、Webシステムなどのジャンルを作成。「圧倒的な初心者目線」を信条に執筆しています。