中小企業において、ITインフラの整備は事業の継続と発展に不可欠です。
しかしながら、IT専任担当者が不足していると社内ネットワークの管理やシステムトラブルへの対応は大きな負担となることでしょう。
特に、ネットワークまわりの課題をクリアにしたい場合、ネットワークエンジニアとインフラエンジニアのどちらを採用すべきか判断に迷うケースも少なくありません。
本記事では、現役インフラエンジニアがそれぞれの役割とスキル、採用ポイントを解説することで貴社のニーズに合致した人材選定をサポートいたします。
適切なエンジニアを採用することで、ITシステムの安定化、ひいてはビジネスの成長に直結します。
ぜひ本記事をご一読いただき、最適なエンジニア獲得にお役立てください。
ネットワークエンジニアの需要が高まっている背景4選
現代社会におけるデジタル化の進展は、ネットワークエンジニアの需要を大きく高めています。
まず始めに、需要を高めている4つの要因を理解しておきましょう。
クラウドサービスの普及
リモートワークの普及
データトラフィックの急増
サイバーセキュリティの重要性の高まり
クラウドサービスの普及
クラウドコンピューティングの普及により、企業は自社でサーバーやネットワーク機器を保有する必要性が減り、クラウド環境への移行が進んでいます。
これに伴い、クラウド環境の設計・構築・運用・保守を担うネットワークエンジニアの需要が高まっています。
クラウド特有の技術やセキュリティ知識が求められるため、専門性の高い人材が求められているのです。
リモートワークの普及
コロナ禍で急速に普及したリモートワークは、企業のネットワーク環境に大きな変化をもたらしました。
社外からのアクセス増加に伴うセキュリティ強化や安定した通信環境の構築は必須となり、ネットワークエンジニアの役割はより重要になっています。
リモートアクセス環境の構築・運用、セキュリティ対策などを担う人材が求められるようになりました。
データトラフィックの急増
動画ストリーミングやIoTデバイスの普及により、ネットワークを流れるデータ量は爆発的に増加しています。
大容量のデータを高速かつ安定的に処理するためのネットワークインフラの構築・運用は、企業にとって重要な課題です。
高速ネットワーク技術やトラフィック制御技術に精通したネットワークエンジニアの需要は、今後もさらに増加していくでしょう。
サイバーセキュリティの重要性の高まり
企業を狙ったサイバー攻撃は年々巧妙化かつ高度化しており、セキュリティ対策の重要性はかつてないほど高まっています。
下図は、NICTER(※)におけるサイバー攻撃関連の通信数の推移であり、増加傾向にあることがわかっています。
出典:国立研究開発法人情報通信研究機構 NICTER 観測レポート 2023
企業ネットワークのセキュリティ強化、侵入検知・防御システムの構築・運用など、セキュリティに特化したネットワークエンジニアの需要はますます大きくなっていると言えるでしょう。
最新のセキュリティ技術や脅威情報に精通し、迅速な対応ができる人材が必要とされているのです。
※NICTER…国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)のサイバーセキュリティ研究室が主導するサイバー攻撃観測・分析システム
ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの違いとは?
ネットワークエンジニアとインフラエンジニアはどちらもITインフラの構築・運用に携わる職種ですが、その業務内容や専門性には違いがあります。
下記の図のように、インフラエンジニアはITインフラ全般を担いますが、ネットワークエンジニアはインフラエンジニアが担当する領域の一部であるネットワークに特化した専門家です。
※インフラ領域内の専門分野は一例であり、上記がすべてではありません。
関連記事:システムエンジニアとインフラエンジニアの違いとは?採用難易度も解説
ネットワークエンジニアとは
ネットワークエンジニアは、データ通信の基盤となるネットワークシステムの構築・運用・保守に特化した専門家です。
具体的には、ルーター、スイッチ、ファイアウォールなどのネットワーク製品の設置・設定や、ネットワークの設計・構築、パフォーマンス監視、障害対応、セキュリティ対策などを担当します。
さらに、企業内ネットワークやインターネット接続環境の構築・運用、データセンターのネットワーク管理など、ネットワークに関わる幅広い業務を担います。
近年ではクラウド環境のネットワーク構築・運用やセキュリティ対策の重要性が高まっていることから、専門知識とスキルを持つネットワークエンジニアの需要が高まっています。
インフラエンジニアとは
インフラエンジニアは、ITインフラ全体を包括的に設計・構築・運用・保守する職種です。
サーバー、ネットワーク、データベース、セキュリティなど、ITシステムを支えるさまざまな基盤技術に精通している必要があります。
ネットワークエンジニアの業務範囲も含まれますが、より広範な知識とスキルが求められます。
具体的にはサーバーの構築・運用、データベースの設計・管理、セキュリティシステムの導入・運用、クラウド環境の構築・管理など、多岐にわたる業務を担当します。
役割としては、システム全体の安定稼働やパフォーマンスの最適化、セキュリティの確保など、ITインフラの中核的な業務を担います。
また、インフラエンジニアの領域は多岐に渡るため、データベースエンジニアやセキュリティエンジニアなど、それぞれの専門分野に特化したエンジニアも存在します。
ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの役割・業務内容の違い
ネットワークエンジニアとインフラエンジニアはどちらもITシステムの安定稼働に欠かせない存在ですが、その役割と業務内容は異なります。
ここでは両者の業務内容・役割を比較し、それぞれの専門性を明確にイメージしていきましょう。
比較項目 | ネットワークエンジニア | インフラエンジニア |
役割・業務内容 |
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関連記事:開発エンジニアとインフラエンジニアの違いとは?採用のポイントも解説
ネットワークエンジニアの役割・業務内容
ネットワークエンジニアは、企業のITインフラにおけるネットワークシステムの構築・運用・保守、セキュリティ強化、トラブルシューティングなど多岐にわたる役割と業務内容を担います。
ネットワークの設計・構築
ビジネスニーズや将来的な拡張性などを考慮し、最適なネットワークシステムの設計を行います。
具体的には、ネットワーク構成図の作成、機器や製品の選定、IPアドレス設計、ルーティング設計、セキュリティ設計などが含まれます。
新規にネットワークを構築する場合だけでなく、既存ネットワークの拡張や更改なども担当します。
ネットワークの運用・管理
構築したネットワークシステムの安定稼働を維持するための運用・管理業務を行います。
具体的には、ネットワーク機器の監視、パフォーマンスの監視とチューニング、セキュリティパッチの適用、障害発生時の対応などが含まれます。
システムの安定稼働を維持するために、24時間365日の体制で監視・運用を行うケースもあります。
ネットワークセキュリティの強化
近年、サイバー攻撃の脅威は増加傾向にあり、ネットワークセキュリティの強化は企業にとって喫緊の課題です。
ネットワークエンジニアは、ファイアウォール、IDS/IPS(不正侵入検知/防御)、VPNなどのセキュリティ機器の導入・設定、セキュリティポリシーの策定・運用、脆弱性診断の実施など、ネットワークセキュリティ対策を推進します。
また、最新のセキュリティ技術や脅威情報に関する知識を常にアップデートし、適切な対策を講じる必要があります。
ネットワークのトラブルシューティング
ネットワークシステムに障害が発生した場合、迅速な原因究明と復旧作業が求められます。
ネットワークエンジニアは、ログ分析、パケットキャプチャ、機器診断など、専門的な技術を用いて障害の原因を特定し、復旧作業を行います。
また、障害発生時の対応手順書の作成や、定期的な訓練なども担当し、迅速な障害対応体制を構築します。
インフラエンジニアの役割・業務内容
インフラエンジニアは、企業全体のITインフラを支える基盤システムの設計・構築・運用・保守に加え、安定稼働と効率的な運用を図るための幅広い役割と業務内容を担います。
システム設計・構築
ビジネス要件、予算、セキュリティ要件などを考慮したうえで最適なITインフラ全体の設計を行い、それに基づきサーバー、ネットワーク機器、データベースなどのITインフラを実際に構築します。
近年ではクラウドサービスの活用や、場合によってはオンプレミス環境との連携なども考慮する必要があります。
OSやミドルウェアのインストール、設定、各種アプリケーションの導入により、システムが正常に動作する状態に仕上げることが重要です。
運用・保守・障害対応
構築したシステムの安定稼働を維持するための運用・管理業務を行います。
システム監視、パフォーマンス監視、ログ分析、バックアップ/リストア、障害対応など、システムの安定稼働を支えるさまざまな業務を担当します。
また、システムに障害が発生した場合、迅速な原因究明と復旧作業を行います。ログ分析、パフォーマンス分析、ネットワーク診断など、さまざまな技術を用いて障害の原因を特定し、適切な対処を行う必要があります。
加えて、システムの可用性、性能、セキュリティを向上させるための改善提案なども行います。
セキュリティ対策
サイバー攻撃や情報漏洩などの脅威からシステムを守るためのセキュリティ対策を計画・実行します。
ファイアウォール、IDS/IPS(不正侵入検知/防御)、ウィルス対策ソフトなどのセキュリティシステムの導入・設定・運用、セキュリティポリシーの策定、脆弱性診断の実施、セキュリティ監査の実施など、多岐にわたるセキュリティ対策を行います。
自動化と効率化の推進
運用コストの削減と人的ミスの防止のため、運用業務の自動化・効率化を推進します。
シェルスクリプト、Pythonなどを用いた自動化ツール開発、構成管理ツール導入、クラウドサービス活用などさまざまな手法を用います。
特に近年ではIaC(Infrastructure as Code)が重要度を増しています。Terraform、Ansible、AWSのCloudFormationなどのツールでインフラ構成をコード化し、自動構築・変更・破棄することで、運用効率と信頼性を向上させます。
加えて運用プロセスやシステム構成の改善提案も行い、ITインフラ全体の効率化を目指します。
ネットワークエンジニアとインフラエンジニアのスキル・保有資格
ネットワークエンジニアとインフラエンジニアはどちらもITインフラを支える重要な役割を担いますが、求められるスキルや保有資格にも違いがあります。
ここでは、それぞれの専門性に応じて必要なスキルセットと、評価される可能性がある資格について解説します。
比較項目 | ネットワークエンジニア | インフラエンジニア |
スキル |
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評価される資格 |
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関連記事:【一覧表】インフラエンジニアに求めるスキル15選!資格も紹介
ネットワークエンジニアに求められるスキル
ネットワークエンジニアは、ネットワークシステムの構築・運用・保守に特化した専門知識とスキルが求められます。
ネットワーク基盤技術
TCP/IP、ルーティングプロトコル、VLAN、VPN、QoSなど、ネットワーク基盤技術に関する深い理解とそれらを活用したネットワーク設計・構築スキルが必須です。
また、ルーター、スイッチ、ファイアウォールなどのネットワーク機器の操作・設定スキルも重要です。
クラウド・セキュリティの知識
クラウド環境の普及に伴い、クラウドネットワークの知識も重要性を増しています。
AWS・Azure・GCPなどの主要クラウドプラットフォームにおけるネットワークサービスの理解と活用スキル、クラウドセキュリティに関する知識も求められます。
問題解決能力
ネットワークシステムは複雑な構成であり、障害発生時には迅速な原因究明と復旧作業が求められます。
そのため、論理的な思考力、問題解決能力、分析力、的確な判断力も必要不可欠なスキルです。
また、障害発生時の対応手順書の作成や定期的な訓練なども担当し、迅速な障害対応体制を構築します。
ネットワークエンジニアとして評価される資格
ネットワークエンジニアは専門性が高い職種であるため、資格の有無は採用判断に大きく影響します。
下記に代表的な資格をまとめましたので、採用活動などの際にご活用ください。
資格 | 概要 |
国家資格 | ネットワークスペシャリスト試験。 |
Cisco系資格 | CCNA、CCNP、CCIEなど。 |
クラウド系資格 | AWS Certified Advanced Networking Specialty、Microsoft Certified: Azure Network Engineer Associateなど。 |
ベンダーニュートラル資格 | CompTIA Network+、CompTIA Security+など。 |
インフラエンジニアに求められるスキル
企業のITインフラを支えるインフラエンジニアには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。
円滑なITシステムの構築・運用のためには、下記のようなスキルを持った人材を確保することが重要になります。
基盤システム構築力
サーバー、ネットワーク、データベースなど、ITインフラの基盤となるシステムの構築スキルは必須です。
OS、ミドルウェア、データベースなどのインストール、設定、パフォーマンスチューニング、セキュリティ設定など、システム構築に必要な幅広い知識とスキルが含まれます。
加えて、仮想化技術やクラウド技術など、最新の技術動向にも精通していることが重要です。
運用・管理力
構築したシステムを安定稼働させるための運用・管理スキルも重要です。
システム監視、パフォーマンス監視、ログ分析、バックアップ/リストア、障害対応など、システムの安定稼働を支えるさまざまな業務を効率的に遂行する能力が求められます。
また、システムの可用性、性能、セキュリティを向上させるための改善提案なども行う能力も含まれます。
自動化・効率化推進力
ITインフラの運用管理業務は、定型的な作業が多く自動化による効率化が求められます。
シェルスクリプト、Pythonなどのプログラミング言語やIaC(Infrastructure as Code)としてのAnsible、Chefなどの構成管理ツールを活用した自動化スキルは、インフラエンジニアにとって重要なスキルとなっています。
インフラエンジニアとして評価される資格
インフラエンジニアのスキルを測る上でも、資格は有効な判断材料となります。
下記に代表的な資格をまとめましたので、こちらも採用活動の際などにご活用ください。
資格 | 概要 |
国家資格 | 基本情報技術者試験、応用情報技術者試験など。 |
ITIL資格 | ITIL4ファンデーションなど。 |
Linuxに関する資格 | LPIC、LinuCなど。 |
ネットワークに関する資格 | CCNA、CompTIA Network+など。 |
データベースに関する資格 | Oracle Master、MySQL認定資格など。 |
AWS系資格 | AWS Certified Solutions Architect – Associate、AWS Certified SysOps Administrator – Associateなど。 |
Microsoft系資格 | Microsoft Certified: Azure Administrator Associate、Microsoft 365 Certified: Enterprise Administrator Expertなど。 |
ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの採用ポイントの違い
ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの採用では、それぞれの役割に応じて重視するポイントが異なります。
適切な人材を採用するために、それぞれの職種に求められるスキルや経験を理解し、的確な評価を行うことが重要です。
ネットワークエンジニアの採用ポイント
ネットワークエンジニアの採用では、専門性の高いネットワーク技術に関する知識とスキル、そして実務経験が重視されます。
ポイントを以下にまとめましたので、採用活動の際の参考にしてみてください。
ネットワークエンジニアの | 内容 |
ネットワーク関連の | ネットワークの設計・構築・運用・保守などの実務経験は、即戦力として活躍できるかを判断する上で重要な要素です。 |
ネットワーク関連の | CCNP、CCIE、ネットワークスペシャリスト試験など、ネットワーク関連の上位資格の保有は高い専門知識とスキルをもっていることを示す指標となります。 |
セキュリティ意識が高いか | 近年、サイバーセキュリティの重要性が高まっていることからセキュリティ意識の高さが重視されています。 |
インフラエンジニアの採用ポイント
インフラエンジニアの採用では、ITインフラ全体を理解しさまざまな技術を駆使してシステムを構築・運用できる能力が重視されます。
こちらもポイントをまとめましたので、採用活動する際の参考にしてみてください。
インフラエンジニアの | 内容 |
ITインフラの設計・構築・ | サーバー、ネットワーク、データベースなど、ITインフラの基盤となるシステムの設計・構築・運用経験は即戦力として活躍できるかを判断する上で重要な要素です。 |
幅広い技術知識を | ITインフラ全体を理解し、さまざまな技術に関する知識を有しているかが重要です。 |
自動化・効率化スキルを | シェルスクリプト、Pythonなどのプログラミング言語や、Ansible、Chefなどの構成管理ツールを活用した自動化スキルは、運用効率の向上に大きく貢献できます。 |
ネットワークエンジニアを採用するならクロスネットワークがおすすめ
この記事では、ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの違いについてさまざまな観点で解説してきました。
冒頭でも述べた通り、クラウドサービスの普及やリモートワークの拡大に伴い、ネットワークエンジニアの需要はますます高まっていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
しかし、高度なスキルを持つ人材の確保は容易ではなく、正社員採用は長期化・困難化しているのが現状です。
そこで、即戦力となるネットワークエンジニアを迅速に確保する方法として、フリーランスエンジニアの活用が注目されています。
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インフラエンジニア兼Webライター。金融業界の汎用機系エンジニアとしてキャリアをスタート。その後Web系システムのクラウド分野に転向し独立。本職の傍らSEOを学び、ライティングやディレクションの一部業務も経験。得意分野はAWS。