ITインフラの整備とは?重要な理由と具体的な手順・成功事例・注意点も解説

ITインフラの整備とは?重要な理由と具体的な手順・成功事例・注意点も解説

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近年のDX化やIT基盤の急拡大により、ITインフラの整備が重要になっています。自社のITインフラも経年劣化しているため、整備を検討している企業のIT担当者もいるでしょう。

しかし、構造が複雑になり過ぎて、どこから整備すれば良いかわからない方も少なくありません。そもそもすぐに整備すべきなのかも疑問で、できれば営業や開発など別の事業にリソースを割きたいという企業も多いかと思います。

そこで、本記事では以下の内容について解説します。

  • ITインフラの概要

  • ITインフラの整備が注目される背景

  • ITインフラ整備の成功事例

  • 整備の流れと注意点

本記事を最後まで読めば、ITインフラ整備の重要性を理解でき、スムーズに整備するためのヒントが得られます。自社のITインフラ整備にお困りの中小企業経営者、IT担当者はぜひ参考にしてください。

ITインフラとは?整備方法を知る前に確認

ITインフラとは、WebサービスやサーバーなどIT環境を支える構成要素全般を指します。日常生活で以下のようなことが可能なのも、ITインフラが稼働しているからです。

  • ECサイトで商品を発注

  • 銀行口座から光熱費を引き落とし

  • 取引先にメールを送信

ITインフラはPCやスマホといった端末だけでなく、サーバーやネットワークなどが相互に連携し合って初めて稼働します。

ITインフラで最も重要なことは、トラブルなく運用されることです。とくに、銀行や鉄道など社会生活に直結したシステムは安定性が求められるため、複数の予備システムを稼働させたりデータのバックアップを取っていたりします。

このように、当たり前の生活を送るためにもITインフラは欠かせないのです。

ハードウェア

ハードウェアとは、ITインフラを運用するための電子的パーツのことで、人の体に例えるなら足や腕に当てはまります。主なハードウェアを下の表にまとめました。

ハードウェアの種類

具体例

入力装置

PC、マウス、スキャナー、マイク

出力装置

モニター、スピーカー、

制御・演算装置

CPU(Central Processing Unit)

GPU(Graphical Processing Unit )

記憶装置

メモリ

SSD(Solid Disc Drive)

HDD(Hard Disc Drive)

ハードウェアの特徴は、時間とともに劣化することです。CPU一つ取っても、ファンの老朽化で冷却がうまくいかず、処理速度が落ちることがあります。時間が経っていなくても、運搬時の破損や自然災害による物理的被害も考えられるでしょう。

ハードウェアは、経年劣化と物理的破損リスクを考慮しながら運用する必要があります。

ソフトウェア

ソフトウェアとは、ハードウェア上で機能するプログラムのことで、人体で言えば脳からの命令に当たります。足や腕があっても脳から「動け」と命令しなければ動けないのと同じように、ハードウェア単体で稼働することはありません。

ソフトウェアは主に以下の2つに分類されます。

ソフトウェアの種類

概要・特徴

具体例

OS

コンピューターの動きを制御

ファイル、ストレージなどのリソースを調整

ChromeOS

Windows

Linux

ミドルウェア

OSとアプリケーションの中間

アプリケーションの開発速度が上がる

DBMS

Webサーバー

メールサーバー

ソフトウェアの特徴は、アップデートが頻繁に実施されることです。サービスの品質を向上させたりセキュリティレベルを上げたりするためです。

とくに、近年はIoTやクラウド技術の普及でソフトウェアの種類も多様化しているため、時代のニーズにあわせたソフトウェアが求められるでしょう。

アプリケーション

アプリケーション出典:福島県

アプリケーション(以下アプリ)とは特定の目的を実現する機能で、厳密に言えばソフトウェアに該当します。YouTubeやAppleMusicなど、一部の用途に特化したソフトウェアを端末にインストールして使います。

アプリのメリットはアクセス速度が向上する点です。Webブラウザだと、YahooやGoogleで検索しないと目的のサービスに辿り着けませんが、アプリであれば端末のアイコンをタップするだけで利用できます。

モバイル端末が普及している中、顧客管理や生産管理などのアプリで業務の生産性向上を試みている企業も増えています。

ITインフラの整備が注目されている6つの理由

ITインフラの重要性を理解できても、本当にいま整備が必要なのか疑問な方も多いかもしれません。ここでは、ITインフラの整備が注目されている背景を6つ紹介します。

  1. 維持コストが増加傾向にあるため
  2. システムがブラックボックス化しているため
  3. 業務の生産性が低下する可能性があるため
  4. DXが加速しているため
  5. ワークスタイルが多様化しているため
  6. サイバー攻撃の脅威が増しているため

1. 維持コストが増加傾向にあるため

既存のITインフラにおいて稼働コストが増加傾向にあるのも、整備が急がれる理由にあります。

ITインフラを長期間運用していると、拡張や改修を繰り返すため、運用保守に膨大な費用がかかってしまいます。企業によっては部署ごとにITサービスの契約を結んでいることもあり、組織再編や事業整理で不必要になっても、そのまま利用料を支払っているケースは少なくありません。

このように整備が行き届いていないと、時間とともに維持コストが膨れ上がってしまいます。

2. システムがブラックボックス化しているため

システムがブラックボックス化するのも、ITインフラの整備が重要視される背景にあります。

ブラックボックス化とは、システムの構造が把握できていない状態のことです。不具合が発生したときに調査に時間とお金がかかるため、ダウンタイムが大幅に伸びてしまいます。あまりにシステムが古いとベンダーがサポートを終了していたり、高額な保守費用を要求されたりすることもあります。

また、属人化もブラックボックス化の要因です。属人化とは、特定の人物だけが業務やシステムの実態を把握している状態のことです。担当者がいるうちは問題ないですが、異動や退職で担当が変わり、引継ぎがうまくいかなければシステムの中身を知る人はいなくなります。

システムの中身をクリアにするためにも、ITインフラの整備が必要なのです。

3. 業務の生産性が低下する可能性があるため

ITインフラを整備しないと、業務の生産性を落とすリスクが出てきます。

たとえば、何年も同じPCを使っていると、起動に時間がかかるでしょう。システムのバージョンアップをしなければ、新サービス導入のハードルが上がり、生産性の低い既存システムを使わざるを得なくなります。

また、整備不良によるシステム障害が頻発すれば、そのたびに業務が滞ってしまうでしょう。障害が起これば再発防止策の立案や顧客への説明、場合によっては事業の停止にも発展する可能性があります。

ITインフラの整備が疎かになると、あらゆる方面で業務の効率が低下してしまいます。

4. DXが加速しているため

近年、企業のDX化が加速しているのもITインフラの整備が注目される理由にあります。

下のグラフは、経済産業省が実施しているDX認定事業者数の推移です。2023年~2024年の間で、中小企業の登録者数は2倍に増加しました。

DX認定事業者数の推移出典:経済産業省

DX促進の主な要因の1つが、クラウド環境の普及です。クラウドとは、インターネットを通じて事業者のサービスを利用する運用形態のことです。総務省の調査でも2023年時点で調査対象企業の77.7%が、クラウドサービスを利用していると回答しました。

クラウドサービス導入企業数出典:総務省

クラウドは自社でハードウェアやソフトウェアを保持する必要がないため、導入のしやすさからも注目が集まっています。

DX化を追い風にするためにも、既存のITインフラを見直す企業が増えているのです。

5. ワークスタイルが多様化しているため

リモートワークのような新しいワークスタイルが普及しているのも、ITインフラを整備すべき理由の一つです。

2020年に流行した新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務を導入する企業が急増しました。リモートワーク環境を整備するためには、PCや周辺機器、外部とのネットワーク接続など、ITインフラを拡張しなければいけません。機密情報が漏れないよう、セキュリティ対策も必要になるでしょう。

また、リモートワークを導入しないと優秀な人材の獲得に後れを取り、企業の競争力にも影響を及ぼします。

時代にあわせた働き方を取り入れるためにも、ITインフラの整備は急務と言えます。

6. サイバー攻撃の脅威が増しているため

サイバー攻撃の脅威が高まっているのも、ITインフラの整備が重要である背景です。

下の表は総務省が作成したグラフで、情報通信研究機構(NICT)が観測した通信関連攻撃の推移を表しています。2015年から5年間で観測数は約9倍に急増し、その後も攻撃数は高止まりしています。
NICTが観測した通信関連攻撃の推移出典:総務省

サイバー攻撃は常に進化しており、開発当初は完璧と考えられていたセキュリティが後に破られることがあります。サイバー攻撃を許すとデータの改ざんや盗難、サービスの停止など深刻な被害に遭うでしょう。

将来起こりうるセキュリティ上の脅威を取り除くためにも、こまめにITインフラを整備する必要があります。

ITインフラ整備の成功事例3つ

ITインフラ整備の重要性は理解できても、自社でどう実現すれば良いかイメージできない企業も多いかもしれません。

ここでは、ITインフラの整備に成功した事例を紹介します。具体的な成果が数字で表れているので、成功場面がイメージしやすくなるでしょう。

1. クラウド移行で開発コストを1/4に削減|ヒューマンインタラクティブテクノロジー社

ヒューマンインタラクティブテクノロジー社は、インフラ系ソリューションやIT戦略事業を展開する独立系IT企業です。

取引先である製薬会社で新規事業を立ち上げる動きがあり、オフィスの準備に伴いインフラを整備する必要がありました。必要最低限のコミュニケーション環境でシステム開発を進められるよう、大手クラウドサービスのMicrosoft Azureを採用。

ネットワークインフラの整備とコミュニケーション環境の構築を実現した結果、オンプレミスと比べ開発コストを1/4削減することに成功しました。

大手のクラウドサービスを活用し、コストカットを実現した好例と言えます。

2. 分析基盤の整備で社内サービス利用者数が13倍に|NTTドコモ

通信キャリア大手のNTTドコモでは、独自ポイント制度の会員数が8,900万人を突破しました。

しかし、システムがオンプレミスで運用されており、基盤の拡張や新しいツールの導入に足踏みしていたとのこと。また、サービスの多様化に伴い散在するデータを活用できていない現状もあったそうです。

そこで、データ利活用の基盤を築くべく、AWS(Amazon Web Service)を使ってクラウドベースの分析基盤を構築。基盤のユーザーアカウント数は13倍に増加したとのことです。

また、クラウド環境に移行したことで、リモートワークのスムーズな移行やコスト意識の浸透も実現しました。データ利活用を契機に社内インフラの利便性が向上した事例と言えます。

<h3>3. 建築現場のDXで稼働状況の把握と作業性の向上を実現|小松製作所

小松製作所は、建設機械や農業機械など産業機械の開発を展開しているメーカーです。

小松製作所では建設現場のDXを目指した「スマートコントラクション」を中期経営計画の重点項目に位置付けています。

DXを推進することで建設機械の自動化・施工業務の最適化を図り、建設現場の安全性・生産性の向上を目指してきました。他にも、ドローンを活用した測量や3Dによる施工シミュレーションも実施。

建設現場の実態を的確に把握し、作業性の改善に寄与した例と言えます。

ITインフラを整備する流れ

ITインフラは場当たり的に整備すると、かえってシステム障害や業務効率の低下を招きかねません。

ここでは、ITインフラを整備する流れを紹介します。整備には自社対応と外注の2パターンがありますが、今回は外注を前提に解説します。

整備目的の明確化

まず、なぜ自社のITインフラを整備すべきなのか、以下のように理由を明らかにしましょう。

  • 新商品の開発費用を捻出するために運用コストを半減したい

  • リモートワークを導入するためにクラウドを活用したい

  • 部門ごとにシステムが拡張・改修されているので一元化したい

整備目的が不明瞭だと思うような成果は得られないかもしれません。

たとえば運用コストを削減するのであれば、システムに手を加えるのではなく、監視ツールを導入して人員を削減すれば解決する可能性があります。リモートワークを導入するなら、対象の部署に限定すれば迅速に整備が進むでしょう。

このように目的が正しければ、以降のステップで大きく道を踏み外すことはなくなります。

外注先の選定

外注先

メリット

デメリット

開発会社

設備投資が不要

設計戦略からサポート

小規模なプロジェクトに不向き

外注費用が高額

フリーランスエンジニア

開発会社より割安

人材育成が不要

人材によって熱意が変わる

目的が固まったら整備の外注先を選定しましょう。依頼先は開発会社かフリーランスエンジニアの2パターンあります。

開発会社

開発会社に依頼するメリットは、整備にかかる設備投資を省略できることです。開発に必要な人材に留まらず、PCやサーバーなどのデバイス、それらを使う物理スペースも不要になるため、自社のリソースを有効活用できます。また、開発会社によっては豊富な知見を生かし、整備構想や設計戦略もサポートしてくれます。

ただし、ある程度規模の大きいプロジェクトでないと引き受けてくれない傾向にあるのがデメリットです。外注費用も割高になりやすいので、予算が潤沢にある企業には開発会社への外注はおすすめです。

フリーランスエンジニア

フリーランスエンジニアに整備を依頼するのも有効な手段で、開発会社と比べて外注費用が安い傾向にあります。

また、フリーランスエンジニアは豊富な知識・業務経験を有しているため、人材育成の手間がかからないのも特徴です。

コミュニケーションを取るときにも、開発会社だと営業やプロジェクトマネージャを仲介する必要がありますが、フリーランスエンジニアであれば直接やり取りすることが可能です。そのため、コミュニケーション齟齬によるトラブルも防ぎやすくなるでしょう。

ただし、人材によってモチベーションに差が出ることもあるため、自社のニーズとのマッチングが重要です。

関連記事:インフラエンジニア採用にエージェントを活用するメリットと選び方を解説

設計

設計出典:J-Net21

外注先の選定が終わったら、ITインフラ整備に向けた設計に進みます。

設計とは、整備内容を実現するための大枠を決めることで、上のようなネットワーク構成図で可視化します。設計するときには以下の2点を意識しましょう。

  1. 過去の事例を参考にする
  2. 将来を見越して設計する

1. 過去の事例を参考にする

ITインフラの設計はある程度パターン化されていることが多く、過去のプロジェクトのノウハウがそのまま使えるケースがあります。成功のポイントや反省点も把握できるため、重大なミスを未然に防ぐことができるでしょう。

また、新しいサービスや技法を採用するなら、ある程度使用実績があるものを使うのがおすすめです。とくに、金融や公共交通機関など社会生活に根差したITインフラで導入するのであれば、慎重に見極める必要があります。

2. 将来を見越して設計する

ITインフラは長期運用を前提に構築されるため、将来起こりうる変化を想定して設計しなければいけません。

たとえば、ユーザー数の増加に伴うサーバーの増築や機能の改修、といった形です。クラウドであれば端末の管理画面から柔軟に拡張・改修できますが、オンプレミスだと融通が利きにくくなります。ITインフラの運用形態を踏まえて設計しましょう。

関連記事:ITインフラの設計とは?構築との違いと流れ・外注のポイントを紹介

整備

設計が終わったらいよいよ整備本番です。なお、整備するときには現場での混乱を招かないよう、関係個所への周知を徹底しましょう。

ITインフラは規模の大きさ・複雑さゆえに、整備も大掛かりになることがあります。配線工事や機材の搬入に伴う通常業務の変更、システム停止などの影響も考えられます。

イレギュラー発生時による対応も重要です。想定される影響範囲や度合いを踏まえ、外注先と整備の進め方を協議しましょう。場合によっては施工の中断・延期も視野に入れるべきです。

また、整備が終わったら作業内容はすべて記録しましょう。作業の実施時刻や内容、確認項目を記録すれば、万が一障害が発生してもスムーズに原因を究明できます。

関連記事:ITインフラの構築とは?設計との違いと流れ・外注のポイントを解説

運用・改善

整備が完了した後の運用・改善も重要なステップです。運用とは、ITインフラが安定稼働できるよう、システムを管理することです。主な運用業務を下の表にまとめました。

運用の主な業務

概要

監視

性能監視

要件通りのパフォーマンスを維持しているか監視

死活監視

サーバーやソフトウェアが動作しているか監視

ログ監視

OSやサーバーなどの稼働履歴を取得

定期メンテナンス

セキュリティパッチの適用

脆弱性を解消するプログラムを適用

システムのアップデート

システムを最新の状態に更新

なお、運用を滞りなく進めるために運用計画書を策定しましょう。障害対応のフローや保守へのエスカレーション、担当者の連絡先などを詳細に記載します。

運用計画書があれば、個人の判断に依存せず均一のレベルで業務に当たることができます。

関連記事:ITインフラ運用とは?仕事内容や保守との違い・外注のメリットについて解説

ITインフラを整備するときの注意点5つ

ITインフラを整備するときの注意点を5つ紹介します。

  1. セキュリティ対策を怠らない
  2. 使用性を考慮する
  3. 障害に強い構成にする
  4. 拡張の余地を残す
  5. クラウドサービスを活用する

追加の整備や安定運用に必要なポイントなので、ここで押さえておきましょう。

1. セキュリティ対策を怠らない

整備の内容によらず、セキュリティ対策は疎かにできません。近年のサイバー攻撃は手口が巧妙化しています。また、IoTやクラウドの普及で、ネットワーク越しから悪意ある第三者に攻撃されるリスクも増えています。

有効なセキュリティ対策は主に以下の4つです。

  1. システムのアップデート:開発元の更新情報をチェック
  2. データの暗号化:情報が流出しても解読できない
  3. ウイルスソフトの導入:外部から受信したデータにウイルスがないかチェック
  4. ペネトレーションテストの実施:疑似的にサイバー攻撃をして防御できるかテスト

セキュリティ対策に過失があれば、顧客への賠償責任や自社の信用失墜につながってしまいます。整備のときには、セキュリティ上の不備を招かないか確認しましょう。

2. 使用性を考慮する

どれだけサーバー増築やシステムの一元化などがうまくいっても、利用者にとって使いにくいと改善とは言えません。下記の点を踏まえてユーザーに寄り添った仕様にすることが重要です。

  • 従来の業務から大きく変わる点はないか:OJT、説明会でサポート

  • UIに問題はないか:画面の大きさ、デザイン、端末の耐久性・寿命などを考慮

整備が完了してから使用性に問題が見つかると、以前のシステムに戻すことは難しくなります。無理に新システムを使い続ければ、業務の生産性低下やヒューマンエラーによる障害などのリスクも出てきます。

もし、整備前に使用性を確認したい場合は、類似システムを体験してみましょう。開発会社によっては、デモンストレーションを実施してくれることもあります。

3. 障害に強い構成にする

完璧なITインフラを構築することは難しく、障害を100%防ぐことはできません。重要なのは障害が起こりにくい構成にすることです。

最もオーソドックスな対応方法が冗長化です。ITインフラにおける冗長化とは、同じ機能を果たすマシンを複数台稼働させることを指します。

万が一片方のシステムが止まっても、予備が稼働しているため、実質的な障害は起こりません。また、冗長化していれば突発のメンテナンスや修理でサービスを止める必要もなくなります。

4. 拡張の余地を残す

ITインフラは整備して終わりではなく、社会のニーズに応じて変えていくべきものです。時代の変化にあわせて性能を高められるよう、拡張の余地を残すことが重要です。

具体的にはスケールアップ・スケールアウトで対応します。スケールアップ・スケールアウトは、サーバーにアクセスが集中したときに処理性能を維持する手法です。それぞれの違いは以下のとおりです。

  • スケールアップ:CPUやメモリを増設してサーバー単体の性能を上げる

  • スケールアウト:サーバーの台数を増やす

オーソドックスな拡張方法はスケールアウトです。スケールアップだとサーバーの性能を上げるにしても限界がありますが、スケールアウトであれば場所と予算の許す限りサーバーの台数を増やすことができます。

ただし、オンプレミスだと物理的制約や増築の準備などスケールアウトの負担がおおきくなるかもしれません。一方、クラウドであれば管理画面でスケールアウトが可能です。

スケールアップ・スケールアウトに手間をかけたくない企業は、クラウドへの移行も検討しましょう。

5. クラウドサービスを活用する

クラウドサービス出典:Google

クラウドサービスとは、インターネットを通じて事業者のリソースを活用できるサービスです。代表例として、AWSやMicrosoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)などが挙げられます。

クラウドサービスで提供されるサービスは、下の3パターンに分類されます。

提供パターン

概要・特徴

IaaS

(Infrastructure as a Service)

サーバーやネットワークを必要に応じてで使用

カスタマイズ性が高い

PaaS

(Platform as a Service)

サーバー、データベース、OSなどの準備が必要ない

低コストでアプリケーションを開発できる

SaaS

(Software as a Service)

ネットワーク上で利用できるソフトウェア

経理や労務など特定のニーズに対応

メリットは導入の負担が小さいことです。オンプレミスの場合だとサーバーの設置やソフトウェアのインストールが必要ですが、クラウドであればネットで手続きでき、規模によっては即日構築も可能です。拡張や改修が必要ならば、サービスの管理画面でサーバーの増築、機能の追加・削除ができます。

また、万が一災害に見舞われても、サーバーはデータセンターに集約されているため、データ紛失・破損の被害を防ぐことができます。

「物理的スペースを有効活用したい」「機材やソフトウェアのメンテナンスを少なくしたい」という企業は、クラウドへ移行すると良いかもしれません。

ITインフラを整備するならクロスネットワークにご相談を

本記事では、ITインフラ整備の重要性と成功事例、整備の流れ、注意点などについて解説しました。

近年は既存インフラの刷新とDX化の加速で、ITインフラの整備が優先事項になりつつあります。「いまは問題なく動いているから」と整備を怠ると、後々深刻なトラブルを招く恐れがあります。

しかし「整備に人員と予算を割く余裕がない」「自社にノウハウがないからプロにお願いしたい」という企業もいるでしょう。

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喜多村道秋
記事を書いた人
喜多村道秋

新卒で大手インフラ企業に入社。約12年間、工場の設備保守や運用計画の策定に従事。 ライター業ではインフラ構築やセキュリティ、Webシステムなどのジャンルを作成。「圧倒的な初心者目線」を信条に執筆しています。