ITインフラの構築とは?設計との違いと流れ・外注のポイントを解説

ITインフラの構築とは?設計との違いと流れ・外注のポイントを解説

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経理や総務、開発など企業活動においてITインフラは重要な要素です。近年はDXの影響で、ITインフラの構築が急務の企業も多いでしょう。

しかし既存のシステムしか利用したことがなく、新たに構築する手順や必要な機材がわからない方もいますよね。構築コストも高額なため、できれば安く済ませたいはず。

そこで、本記事では以下の内容について解説します。

  • ITインフラ構築の構成要素
  • 構築の流れ
  • 構築時の注意点
  • 構築する際の主な依頼先

本記事を最後まで読めば、ITインフラをスムーズに構築するための知識が得られ、自社で構築できるか判断できます。企業のシステム開発担当、自社のITインフラ整備にお困りの中小企業経営者はぜひ参考にしてください。

ITインフラとは?構成要素も紹介

ITインフラ構築とは、ITのベースとなる設備や建物、ソフトウェアなどを使ってITインフラを作り上げることです。

近年は企業のDXやクラウド技術の普及により、ITインフラの重要性が増しています。下のグラフは、経済産業省が推進している「DX認定制度」を活用した企業の数です。2023年~2024年で認定企業数は1.5倍に増えており、とくに中小企業は2.0倍と伸び率が顕著です

出典:経済産業省
また、ITインフラが脆弱だとシステム障害やサイバー攻撃の被害といったリスクが想定されます。NICT(情報通信研究機構)の調査では、情報通信関連の攻撃が2018年~2021年の間で2.4倍に増加しています。

システムのバージョンアップ遅れを狙った攻撃も多く、セキュリティを破られると情報漏えいやサービス停止などの被害に遭いかねません。

このような面からも、ITインフラの構築は企業活動の発展で欠かせない要素と言えます。

ハードウェア

ハードウェアとは、ITインフラを動かす電子パーツ全般を指し、人体で言うと腕や足、骨などに当たります。デジタル情報を入出力・処理するベースで、ITインフラ全体の性能を左右します。具体的なハードウェアは次の4つです。

  1. 入力装置
  2. 出力装置
  3. 制御・演算装置
  4. 記憶装置

1. 入力装置

入力装置とはコンピューターへ情報を送る装置で、キーボードやマウス、パネルなどが該当します。

ユーザーが直接触れる部分のため、装置本体の性能はもちろんUIの設計も必要です。UIとはユーザーインターフェースの略で、ユーザーがマシンを扱う方法や画面などを指します。

入力装置の使いやすさが業務の生産性に直結するため、入念に設計しなければいけません。

2. 出力装置

出力装置とは演算や処理結果を外部に出す装置で、モニター、プリンター、スピーカー、プロジェクターなどが挙げられます。各装置の特性に応じて、文章や音響、画像など多様なデータ形式に変化できるのが特徴です。

出力装置があると、デジタル情報が画像や文章といった人間が理解できる形に変換されるため、情報の取得・送信をスムーズに行えます。

制御・演算装置

制御・演算装置はプログラムに従って命令・演算・条件判定をする装置で、主に以下の部品がその役割を果たします。

  • CPU:ユーザーからの命令を理解して実行し、結果をユーザーに返す
  • GPU:並列処理の演算を行う

CPUは中央処理演算装置と呼ばれ、コンピューターの頭脳と言われることもあります。ユーザーからの命令を受け取ったときに命令を理解・実行し、結果を返すまでの一連の処理をします。CPUは膨大な電気信号を使って処理するため、熱をもちやすいのが特徴。そのため、冷却用のファンが搭載されていたり、常に冷房が稼働しているサーバールームがあったりします。

GPUは、3Dグラフィックの描画や機械学習といった並列処理をする装置です。CPU単体と比べるとコアの性能は劣りますが、多数のコアを内蔵しているため、処理の多い命令を複数に分割して演算することに長けています。

記憶装置

記憶装置とは、データやプログラムなどをコンピューターに保持する装置で、人体で言うと脳に該当します。主な記憶装置の種類と特徴を以下にまとめました。

記憶装置の種類

ストレージ

HDD、SDD

メモリ

SDカード、USBなど

ストレージとは長期記憶装置とも呼ばれ、コンピューターの電源を切ってもデータを保存できる点が特徴です。主にHDDとSDDの2種類に分けられます。

項目

HDD

SSD

アクセス速度

低速

高速

容量

動作音

おおきい

静か

メモリは主記憶装置とも呼ばれ、データを一時的に保持するために利用します。ストレージは磁気データとして長期的にデータを保持しますが、メモリは電気信号で保存するため、処理速度が速い点が特徴です。

ソフトウェア

ハードウェアを動かすための処理機能で、人体にたとえるなら脳からの指令に当たります。腕や足があっても脳から「動け」と命令しなければ動かせないのと同じように、ソフトウェアがないとハードウェアを動かすことはできません。主なソフトウェアは以下のとおりです。

  • OS
  • ミドルウェア
  • アプリケーション
  • デバイスドライバ

OS

OS(オペレーティングシステム)とは、コンピューター全体の動きを制御し、人間がデバイスを使えるようにするプログラムのことです。ハードウェアと後述のアプリケーションをつなぐ役割があり、処理もファイル・メモリの管理、ストレージ・メモリのリソース調整など多岐に渡ります。

PCのマウスでアイコンをクリックし、アプリが起動するのもOSがあるからです。代表的なOSとしてWindows、Mac、Androidなどがあります。

ミドルウェア

OSとアプリケーションの真ん中に位置するソフトウェアで、DBMS(データベース管理システム)やWebサーバーなどが挙げられます。

アプリケーションと別れている理由は、開発速度をアップさせるためです。ミドルウェアは、データベースやWebブラウザとの通信など汎用機能が搭載されています。そのため、アプリを開発するときも独自開発の部分に集中することができます。

料理にたとえると、ミドルウェアが下ごしらえを担い、アプリケーション開発担当が調理を担うイメージです。

アプリケーション

アプリケーションとは、特定の機能を実現するためのソフトウェアで、ITインフラでいうと勤怠管理、経理、生産管理などに当たります。

アプリケーションはインストールして使うケースが多いですが、近年はクラウドタイプも普及しています。クラウドとはインターネットでサービスを使う形態で、安価な初期コストやリソースの最適化などメリットが多い点が特徴です。

デバイスドライバ

デバイスドライバとは、キーボードやマウス、プリンターなどPC周辺機器を動かすソフトウェアのことです。OS備え付けのものもあれば、CD-ROMのような周辺機器の付属品からインストールするタイプもあります。

ITインフラは大規模かつ複雑になりやすいため、それにつれて周辺機器の種類も増える傾向にあります。ITインフラ構築時にスムーズに周辺機器を導入できるよう、デバイスドライバの利便性も考慮しましょう。

ITインフラ構築と設計の違い

工程

概要

料理にたとえると

設計

ITインフラの機能・構成・構造を定義

レシピ作成

構築

設計に基づいてITインフラを実現

調理

ITインフラの設計とは、ネットワークやサーバーなどを構築するために全体像を決めるステップです。ITインフラに必要な機能・構成とそれを実現する内部構造まで細かく決めます。

一方、構築は設計を元に実際のITインフラを作り上げることで、サーバーの設置、ケーブル工事、ネットワークのセットアップ、セキュリティ設定などを行います。料理でたとえるなら、設計がレシピ作成で構築が調理に当てはまるでしょう。

設計に不備があると、セキュリティ上の脆弱性が残ったり機能不足(もしくはオーバースペック)になったりします。構築時に設計まで手戻りすると、時間とお金を大幅にロスするため疎かにできません。

また、設計・構築ともに高度な技術と経験が求められるので、即戦力となるインフラエンジニアが求められています。

ITインフラ構築の流れと各ステップの成果物

ITインフラは構造が複雑なため、多くの工程を踏みます。ここではITインフラ構築の流れを解説します。

  1. 要求定義
  2. 要件定義
  3. 設計
  4. 構築
  5. テスト
  6. 運用・保守

外注を前提に解説しますが、自社で構築する場合でも重要なステップです。順に見ていきましょう。

1. 要求定義

要求定義とは、ITインフラで何を実現したいのか具体化することで、現状の課題と理想の状態、そのギャップを埋めるために必要な機能を洗い出します。たとえば「工場内のネットワークを新設したい」「クラウドを導入して人員を○○%削減したい」といった形です。

要求定義でまとめたものはRFPに反映しましょう。RFP(Request for Proposal)とは提案依頼書と呼ばれ、システム開発を外注するときに中身の提案や見積り依頼をしてもらうためのドキュメントです。外注先とのコミュニケーションコスト削減や費用の適正化などメリットが多く、自社開発する場合でも社内の意志統一で活用できます。

RFPには、主に以下のような内容を記載します。

  • システム概要:開発の背景・目的、解決したい課題、予算、ユーザーなど
  • 提案依頼事項:システムの構成、性能、納期、プロジェクト体制・管理方法など
  • 提案手続き:双方の窓口、提供資料など
  • 構築の条件:期間、作業場所、構築用デバイス、ドキュメントなど
  • 契約事項:支払い条件、保証年数、機密事項など

2. 要件定義

要件定義とは要求定義で汲み取ったニーズをシステムで実現するために、必要な機能、使用技術、納期、工数、構築手順など細かく決めるフェーズです。

要件定義が不十分だと、想定していたITインフラが構築できず使い物にならないかもしれません。工程が想定より伸びて予算を圧迫する可能性もあります。また要件定義の過程で隠れたニーズを掘り起こせることもあります。このように構築ニーズの精度を上げるうえで、要件定義は疎かにできません。

3. 設計

要件定義でまとめた内容を構築に反映するために、大まかな枠組みを決めます。設計は以下の2ステップに分けられます。

  • 基本設計
  • 詳細設計

基本設計

基本設計とは、要件定義を構築に反映するためにシステムの大枠を決めることで、外部設計とも言われます。具体的には必要な機能の洗い出しやデータの整理、UIのレイアウトを決めます。基本設計の主な項目と概要は以下のとおりです。

設計項目

概要・特徴

システム設計

システムを構成するハードウェア・ソフトウェアを決める

既存システム、外部システムとの連携も図式化

画面設計

画面のレイアウト、遷移などを明確化

バッチ設計

事前に登録した処理の流れを定義

帳票設計

帳票のレイアウト・一覧などを具体化

実務での使用感をイメージできる

基本設計で重要なのは、認識の違いをなくすことです。とくに外注する場合だと、以降の工程で開発会社と関わる機会が減ります。

基本設計を開発会社に任せっきりにすると、見当違いなITインフラができるかもしれません。少しでも疑問点や不明点があれば、ここで共有しておきましょう。

詳細設計

詳細設計は基本設計で決めた骨格を実装するために、内部構造を定義することです。エンジニアがスムーズに実装するための指示書と考えて良いでしょう。つまり、詳細設計の質次第で構築の生産性・業務効率が変わるのです。

詳細設計の主な項目と概要を下の表にまとめました。詳細設計は開発会社が行いますが、設計の中身を知っておくと円滑にコミュニケーションを進められます。

設計項目

概要・特徴

システム概要

システム全体の目的や機能、主要な構成要素ついて記載

アーキテクチャ設計

システムの構造や各構成物の関係を決める

サーバやネットワーク構成などの情報も明記

モジュール設計

モジュール(プログラムの機能単位)の詳細を記載

モジュールの役割やデータ構造を定義

データベース設計

データベースのテーブル定義や制約条件を決める

インターフェース設計

システム外部とやり取りする際のルールを定義

APIの仕様や通信プロトコルを決める

テスト設計

以降のテストで何を検証するか固める

4. 構築

設計フェーズがすべて終わったら、いよいよ構築です。必要な機材を用意し、スケジュールに従って実施しましょう。設計と同じく、構築も開発会社が行います。

なお構築のときには関係者への告知を忘れないようにしましょう。ITインフラの規模にもよりますが、構築時にはシステムの一時停止や配線工事、機材の搬入、PCの入れ替えなど大掛かりになることがあります。

もし大事なデータがクラウド保存されず、無断でデバイスが交換されていたら業務に支障が出ます。機密情報を扱うフロアに立ち入るのであれば、持ち物チェックや入退室管理も必要になるかもしれません。現場での混乱を招かないためにも、少なくとも1か月前までに周知するようにしましょう。

5. テスト

構築が無事終わったら、想定通りにシステムが稼働するかテストします。一般的にテストは以下の3段階に分けて行われます。

  1. 単体テスト
  2. 結合テスト
  3. システムテスト

1. 単体テスト

単体テストとは、画面や動作などモジュール単位で行うテストです。たとえば「値を入力したら正しい結果を返す」「ルーターの電源ランプが点灯する」といったことをチェックします。簡易なテストなので、構築時に実施することもあります。

2. 結合テスト

結合テストとは、単体テストをクリアしたプログラム・機器同士で連携が取れているかチェックするフェーズで、基本設計どおりに動くか検証します。

機能単体で問題がなくても、他のプログラムと組み合わせた途端に不具合を起こすケースは珍しくありません。想定外のエラーが出てきやすいのも結合テストなので、漏れなく行いましょう。

3. システムテスト

結合テストが終わったら、システム全体が要求定義・要件定義どおりに動くかシステムテストをします。システムテストは主に以下の項目に分けて実施します。

テスト項目

概要・特徴

機能テスト

実運用を想定してシステム全体の動きを検証

イレギュラーな操作時の挙動も確認

ユーザビリティテスト

実務面での使用感・操作感を検証

疎通テスト

外部ネットワークとの連携を検証

結合テストで確認する場合もある

セキュリティテスト

疑似的にサイバー攻撃をしかけてシステムを守れるか検証

負荷テスト

高温・高圧環境下で動くか

過電流を流したときにシステムの保護動作が働くかなど

システムテストでは本番環境を想定して行うため、セキュリティへの攻撃やわざと間違った入力をした場合など異常時の挙動もチェックします。考えられうるトラブルを踏まえて実施しましょう。

6.運用・保守

テストが終わるといよいよ稼働ですが、ここからがITインフラの本番と言えます。長期的に安定稼働するためには、運用・保守が欠かせません。

運用とはシステムが滞りなく稼働するよう管理・監視することです。保守では、システムに不具合が発生したときにソフトウェアの修正、ハードウェアの交換、再発防止策の立案などを行います。

多くのITインフラは企業活動のベースになるため、数年単位で運用されるケースがほとんどです。運用中に新たな脆弱性が見つかったり、使っているハードウェアが生産終了になったりとさまざまな変化が起こるでしょう。

時代の流れにあわせてITインフラを維持するためにも、運用・保守は欠かせません。

ITインフラ構築の注意点5つ

ITインフラを構築するときの注意点を5つ紹介します。

  1. 構築目的を明らかにする
  2. セキュリティ対策を万全にする
  3. 厳しすぎる納期・予算を設定しない
  4. ユーザーの利便性も考慮する
  5. 障害対策も盛り込む

おおきなトラブルなく構築するためのポイントなので、ここで押さえておきましょう。

1.構築目的を明らかにする

なぜITインフラを構築するのか、以下のように目的を明確にしましょう。

  • 運用コストを20%削減したい
  • 工場を新設するので専用ネットワークを作りたい
  • 処理速度を1.5倍に引き上げたい

目的をはっきりさせておくと、見当違いな設計・構築を避けられます。たとえば、運用コスト削減が主目的であれば、監視ツールを導入して運用を自動化すれば良いかもしれません。

工場のネットワークを新設するなら、使用者のUIに配慮した端末が必要でしょう。また、低予算で自社インフラの処理速度を上げるなら、サーバーの増築よりソフトウェアの改修の方が得策の場合もあります。

このように、構築目的によって各フェーズの重要度が変わります。

2.セキュリティ対策を万全にする

ユーザー認証やパスワード設定、プログラムのアップデートなどセキュリティ対策を怠らないようにしましょう。

サイバー攻撃は日々高度化・複雑化しており、古いシステムのまま運用すると深刻な被害に遭うかもしれません。主なサイバー攻撃の被害の事例を挙げてみました。

  • 不正侵入・改ざんによるポータルサイトの一時閉鎖
  • パスワードリスト攻撃によるログイン情報の不正取得
  • 脆弱性を狙ったクレジットカード情報の盗難

参考:セキュリティプレス

このような被害が発生すれば、損失を被るだけでなく再発防止策の考案やステークホルダーへの説明などにも追われます。セキュリティ対策に過失があれば、自社の信用失墜や訴訟沙汰に発展する可能性もあるでしょう。

多くのITインフラは外部につながっているので、常に悪意ある第三者の標的にされています。大切な情報資産を守るためにも、セキュリティ対策は欠かせません。

3. 厳しすぎる納期・予算を設定しない

外注・内製化に関わらず、厳しすぎる納期・予算はNGです。納期が短いと要求定義で十分にニーズを洗い出せなかったり、テストで確認すべき項目を網羅できなかったりします。予算を抑えすぎると優秀なエンジニアを雇えず、ずさんなシステムを構築しかねません。

各工程に予備日を設け、それでも間に合いそうにないなら納期を伸ばすことも検討しましょう。災害による設備被害や施工中の事故、人事異動など不測の事態に備え、予算も多めに確保することをおすすめします。

4. ユーザーの利便性も考慮する

どれだけ低コストで処理速度が速くても、ユーザーにとって使いにくいと業務の生産性が落ちます。主に以下の点をチェックし、ユーザーの利便性を確認しましょう。

  • 操作は複雑でないか
  • 端末は壊れにくい仕様か
  • 画面のサイズは十分か
  • 従来の業務とおおきく変わる点はないか

システムの利便性を一早く確かめるなら、類似システムを体験してみるのがおすすめ。外注の場合だと開発会社がデモンストレーションを行うこともあり、発注を決める前からシステムの使用感を想像できます。

5. 障害対策も盛り込む

残念ながら完璧なITインフラを構築することは難しく、程度の差はあれ障害は発生する可能性があります。いざトラブルが起こっても被害を最小限に食い止められるよう、障害対策を立てましょう。具体的には以下の流れで対応します。

対応項目

対応例

原因の切り分け

ログやアラートを元に異常がありそうな箇所を絞る

トラブル発生箇所の特定

CPUの使用率やデータベースへの接続数などを確認

原因特定

異常発生前後の変化、直近の改修履歴などを元に特定

修正

当該プログラムの改修、機器の交換

再発防止策の考案

サーバーの増築、最大接続数の上限変更など

障害発生時は関係者全員に情報を共有することが大切です。「被害レベルはどの程度か」「どのフェーズまで調査・復旧が完了しているか」など密に連絡を取りましょう。チーム内で意見や情報を伝えやすい雰囲気を作ることも重要です。

ITインフラ構築の主な依頼先3つ

依頼先

メリット

デメリット

自社のエンジニア

コミュニケーションが円滑になる

ノウハウを蓄積できる

臨機応変な対応ができる

人材によってスキルの差が顕著

給与以外の固定費がかかる


システム開発会社

採用・育成の労力がかからない

幅広い知見を得られる


費用が高額

ノウハウが蓄積されにくい

コミュニケーションコストが増える

フリーランス

エンジニア

高スキルな人材を採用できる

コストを抑制できる

リソースを調整しやすい

長期的な関係作りが難しい

帰属意識が低い傾向にある

ITインフラを構築するときの委託先について紹介します。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自社のニーズ・予算にあわせて選びましょう。

1.自社のインフラエンジニア

自社のインフラエンジニアに依頼するのは内製化とも呼ばれ、メジャーな手段の一つです。

メリット

自社のエンジニアは自社の価値観・業務フローを理解しているため、コミュニケーションコストが少なくなります。外注先との契約調整や内容確認といった作業も省けるため、スピーディに意思疎通できるはずです。

ノウハウも蓄積されるため、他部署や新人への技術継承もしやすくなるでしょう。システムのブラックボックス化も防ぐことができます。また、障害や機器の不具合など異常が発生しても、自社のエンジニアなら直接対処が可能です。

デメリット

自社人材だと未経験者から熟練者までレベルが幅広く、品質に差が出る傾向にあります。未経験を育てるのも労力が要るため、業務の生産性が落ちる可能性が出てくるでしょう。

また正規雇用だと、給与の他に福利厚生、社会保険、退職金などの費用もかかります。リソースに応じて雇用を調整することも難しく、長期間の固定費が負担になるかもしれません。そのため、長期目線での人材育成、構築ノウハウの保有に重点を置く企業に内製化はおすすめです。

2.システム開発会社

内製化にメリットがない場合、開発会社へ構築を依頼するのも有効です。

メリット

ITインフラ構築に求められる技術はレベルが高いため、即戦力を採用するのが難しい傾向にあります。しかし、開発会社に委託すれば人材の確保・育成のプロセスをスキップできます。

また、開発会社によっては幅広い業界での受注実績があるため、自社にはない知見も得られるはずです。他社の動向や技術トレンド、開発ノウハウなどを教えてもらえると視野も広がります。

デメリット

開発会社に委託すると外注費用が高額になりやすく、とくにゼロから構築するとなると1,000万円を超える事例は多々あります。

自社にノウハウ・知見が貯まらないのも難点です。上流工程であれば発注側も関わりますが、詳細設計や実装はほとんど開発会社任せになります。いざ契約が終わるとシステムがブラックボックス化して、異常時に対応できない可能性も出てくるでしょう。

また、内製化と比べてコミュニケーションが複雑になる傾向にあります。外注先とやりとりする場合、営業窓口やプロジェクトリーダーを仲介するケースが多いため、意思疎通のスピード感が落ちます。

3.フリーランスエンジニア

フリーランスエンジニアとは業務委託で案件を受注する人材で、スキル、経験、コストなどの観点から注目する企業が増えています。

メリット

フリーランスエンジニアは専門分野での知識・業務経験が豊富なため、即戦力として活躍してくれます。すでにスキルは十分あるので、育成にかかるお金と時間を省けるでしょう。正規雇用のように社会保険、福利厚生費などの固定費が発生しない点も魅力です。

またフリーランスエンジニアは案件ごとに契約するため、必要に応じて人材を確保できます。開発が佳境を迎えるときは人員を増やし、無事リリースできたら契約を解除するといった調整が可能です。

デメリット

プロジェクトが終わると契約満了になることが多いため、長期的な関係構築が難しくなります。エンジニアの知見・技術を長期間活用することができず、別のプロジェクトを立ち上げるときにも、新たに関係を築く必要があります。

また正規雇用と違い、自社への帰属意識が低くなりやすい点もネックです。クライアントとの相性によっては熱意に差が出るため、自社のニーズにマッチした人材を見つけることが重要です。

関連記事:インフラエンジニア採用にエージェントを活用するメリットと選び方を解説

ITインフラ構築でよくある質問2つ

最後に、ITインフラ構築でよくある質問にお答えします。人材採用や技術トレンドでよくある疑問なので、ここで解消しましょう。

1. 未経験の人材でも構築できる?

未経験の人材でもITインフラの構築は可能ですが、以下のような課題をクリアしないといけません。

  • 初期教育のコストと時間がかかる
  • 早期離職のリスクがある
  • 生産性が低下する可能性がある

前章でも解説したように、ITインフラ構築は高度な技術が問われるため、人材育成に多くのお金と時間を費やします。教育や研修の過程で業務のミスマッチがあれば、離職されるリスクもあります。また、一定の技術レベルに達するまではベテランのサポートが必要なので、一時的とはいえ業務の生産性が低下するでしょう。

一方、自社の価値観の醸成や長期視点の人材育成が可能といったメリットもあります。このメリットがおおきいなら、未経験者を育てるのは得策と言えます。

関連記事:インフラエンジニアを新卒採用すべき?即戦力人材を獲得する方法も解説

2. AWSとはどのようなサービス?

出典AWS
AWSとは、アマゾンが提供しているクラウドコンピューティングサービスです。AIのレコメンデーションやIoT連携など最先端の機能を利用できるため、ITインフラの品質向上・早期構築の面で注目されています。

おおきなメリットは、圧倒的なスケーラビリティを実現できることです。仮想サーバーの構築、コンテンツ配信、ビッグデータ分析など約700のサービスを利用することができます。新機能の追加・削除といったリソース調整が管理画面で完結するため、自社のニーズにあわせて自由にシステムを変更できます。厳格なコンプライアンスと第三者機関の認証も取得しているので、セキュリティ面でも安心。

またAWSは従量課金制を採用しているため、利用していないリソースに対する費用を削減できる点も魅力です。「散在しているインフラサービスを一元化したい」「迅速にITインフラを構築・拡張したい」という企業におすすめと言えるでしょう。

ITインフラ構築を依頼するならクロスネットワークがおすすめ

本記事ではITインフラの構築に必要な構成要素と流れ、構築時の注意点などについて解説しました。近年は既存インフラの老朽化とDXの普及で、ITインフラ構築の重要性が増しています。ずさんな構築をするとシステムトラブルやサイバー攻撃のターゲットになるなど、深刻な被害に遭いかねません。

しかし「自社で構築するノウハウがない」「なるべく費用対効果を高めて構築したい」という企業もいるでしょう。

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喜多村道秋
記事を書いた人
喜多村道秋

新卒で大手インフラ企業に入社。約12年間、工場の設備保守や運用計画の策定に従事。 ライター業ではインフラ構築やセキュリティ、Webシステムなどのジャンルを作成。「圧倒的な初心者目線」を信条に執筆しています。