SREエンジニアとは?インフラエンジニアとの違いを詳しく解説!

SREエンジニアとは?インフラエンジニアとの違いを詳しく解説!

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近年、ITシステム関係でよく耳にする「SRE」という言葉。
システムの安定稼働に重要だとは認識してはいるが、従来のインフラエンジニアと何が違うのかいまいち理解できていない方も多いのではないでしょうか? 
また、結局どちらを採用すれば良いのか?と悩んでいる方もいるかもしれません。 

本記事では、インフラエンジニア歴12年の筆者が、Google発祥のSREの概念からインフラエンジニアとの具体的な違い、そして課題別の適性までを分かりやすく解説します。
さらに、正社員とフリーランスそれぞれの雇用形態の違いについても触れているので、ぜひ人材採用の参考にしてみてください。

関連記事:システムエンジニアとインフラエンジニアの違いとは?採用難易度も解説
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SREとは

SREとは、Site Reliability Engineering の略でGoogle が提唱したシステム運用における方法論です。
従来のシステム運用とは異なり、ソフトウェアエンジニアリングの原則を適用することで、システムの信頼性と安定性を向上させることを目指します。

SREはシステム運用の方法論

SREは単なる役割分担ではなく、システム運用に対する包括的なアプローチであり方法論です。

開発チームと運用チームが連携し、自動化、監視、パフォーマンス最適化などの手法を用いてシステムの信頼性を高めます。
従来の運用チームのようにただ指示された作業をこなすのではなく、SREはシステムの改善に積極的に関与し開発チームと協力してより良いシステムを構築していく役割を担います。

SREで用いられる指標

SREでは、システムの信頼性を測るためにさまざまな指標が用いられます。
代表的な指標として、以下のようなものがあります。

指標

説明

SLO
(Service Level Objective)

サービスレベル目標。
サービスの可用性、パフォーマンス、レイテンシーなど、ユーザーに提供するサービスの品質を定義します。

SLA
(Service Level Agreement)

サービスレベル契約。
サービス提供者と利用者の間で結ばれる、サービスの品質に関する合意です。
可用性、パフォーマンス、レイテンシーなど、具体的な数値目標が設定されます。

SLI
 (Service Level Indicator)

サービスレベル指標。
SLOを測定するための具体的な指標です。
例えば、可用性を測るSLIとして、アップタイムなどが用いられます。

エラーバジェット

SREでは、一定のエラーを許容することでシステムの柔軟性と開発スピードを確保します。
この許容範囲をエラーバジェットと呼びます。

これらの指標を用いることで、システムの信頼性を客観的に評価し、改善のための具体的な目標を設定することができます。

SREとDevOpsの違い

DevOpsとは、開発(Development)と運用(Operations)を統合しシステム開発・運用全体の効率化と迅速化を目指す考え方です。
SREとDevOpsは、どちらも開発チームと運用チームの連携を強化しシステム開発・運用の効率化を目指すという共通点があります。しかし、そのアプローチには違いがあります。

DevOpsは文化や哲学であり、SREはそれを実現するための具体的な方法論と捉えることができます。DevOpsが目指すものを、SREは実践的な手法によって実現するのです。
SREはDevOpsの原則を具現化した一つの形と言えるでしょう。

SREエンジニアとインフラエンジニアの違い

SREエンジニアとインフラエンジニアはどちらもシステムの安定稼働を支える重要な役割を担いますが、その目的、業務範囲、必要なスキルセットは異なります。
具体的な違いを理解することで、それぞれの要員を適切に配置し効果的なシステム運用体制を構築することが可能になります。

目的

SREエンジニアとインフラエンジニアでは、システム運用における最終的な目的が異なります。

  • インフラエンジニア

システムの安定稼働を維持することが最大の目的です。日々の運用業務や障害対応に注力し、安定したサービス提供を支えます。
具体的には、サーバーやネットワーク機器の監視、障害発生時の迅速な対応、セキュリティ対策の実施などが挙げられます。

  • SREエンジニア

システムの信頼性向上を目的とし、安定稼働に加えてパフォーマンスの最適化や自動化、スケーラビリティの向上など、より広範な領域に取り組みます。
システムの可用性、パフォーマンス、セキュリティを向上させるための施策を開発チームと連携しながら推進します。

業務範囲

担当する業務範囲にも違いがあります。

  • インフラエンジニア

サーバーやネットワーク機器の構築・運用・保守、セキュリティ対策、障害対応などが主な業務です。
OSのインストール、ミドルウェアの設定、ネットワークの構築、セキュリティパッチの適用など、システムの基盤を支える幅広い業務を担当します。

  • SREエンジニア

インフラエンジニアの業務に加え、システムの監視、パフォーマンス分析、自動化ツールの開発、障害発生時の原因究明と再発防止策の検討など、より開発に近い業務も担当します。
例えば、監視システムの構築やパフォーマンスボトルネックの特定と改善、運用作業の自動化スクリプト作成、障害対応手順の自動化などが挙げられます。

スキルセット

当然ながら、求められるスキルセットも異なります。

  • インフラエンジニア

Linux・WindowsなどのOSのほかにデータベース、ネットワークに関する深い知識と、ミドルウェアの運用経験、シェルスクリプトなどによる作業自動化スキルが求められます。
具体的なツールとしては、AWS・Azure・GCPなどのクラウドプラットフォームの知識、Ansible・Chef・Puppetなどの構成管理ツール、Zabbix・Nagios・Datadogなどの監視ツールなどが挙げられます。

  • SREエンジニア

インフラエンジニアのスキルに加え、Python・Go・Javaなどのプログラミングスキル、自動化ツールに関する知識、クラウド技術の理解、パフォーマンス分析スキルなど、幅広いスキルセットが必要です。
Kubernetes・Dockerなどのコンテナ技術、TerraformなどのIaCツール、PrometheusやGrafanaなどの監視ツール、そしてDevOpsのプラクティスに関する知識も重要です。

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課題別SREエンジニアとインフラエンジニアを求めるケースの違い

企業は常に様々な課題に直面し、その解決のための適切な人材配置を必要としています。
インフラエンジニアとSREエンジニアそれぞれが得意とする領域、効果を発揮しやすい場面は異なります。 

ここでは、以下の5つの直面しやすい課題に対して、それぞれのエンジニアの特性を活かしたアプローチを解説します。
もちろんケースバイケースではありますので、考え方の一つとして参考にしてみてください。

  • 課題①システムの安定稼働を維持したい

  • 課題②システムのパフォーマンスを向上させたい

  • 課題③システムをスケールさせたい

  • 課題④開発チームと運用チームの連携を強化したい

  • 課題⑤自動化を進めて運用コストを削減したい

課題①システムの安定稼働を維持したい

システムの安定稼働はビジネス継続の要です。
予期せぬ障害やパフォーマンス低下は常に起こり得るため、適切な人材確保が重要になります。

項目

SREエンジニア

インフラエンジニア

メリット

  • 開発スキルを活かした自動化

  • パフォーマンス監視と改善

  • 開発チームとの緊密な連携

  • 豊富な運用経験と深い専門知識

  • 迅速な障害対応

  • 比較的低コスト

デメリット

  • 採用コストが高い

  • 経験豊富な人材が少ない

  • 小規模システムにはオーバースペックの可能性

  • 自動化スキルが不足している場合がある

  • 開発チームとの連携がスムーズでない場合がある

  • 新技術への対応が遅れる場合がある

適したケース

  • 新規システム構築や大規模改修を検討中で、自動化・パフォーマンス改善・スケーラビリティ向上に重点を置く場合

  • 既存システムの運用・保守を重視し、コストを抑えたい場合

上記を表を参考に、自社の状況に合わせて最適な人材を選定することが重要です。
例えば、既存システムの安定稼働を重視しコストを抑えたい場合はインフラエンジニアが、新規システム構築や既存システムの拡張性を高めたい場合はSREエンジニアが適任です。

課題②システムのパフォーマンスを向上させたい

システムのパフォーマンス向上は、ユーザー体験の向上や業務効率化、ひいてはビジネスの成長に直結します。
パフォーマンスのボトルネックを特定し適切な改善策を実施するためには、専門的なスキルを持つ人材が必要です。

項目

SREエンジニア

インフラエンジニア

メリット

  • パフォーマンス分析ツールや手法に精通している

  • 自動化による継続的なパフォーマンス改善

  • 開発チームと連携した根本的な解決

  • 既存システムの構成を深く理解している

  • ハードウェアの知識が豊富

  • 比較的低コスト

デメリット

  • 採用コストが高い

  • 高度なスキルを持つ人材が少ない

  • パフォーマンス改善のための施策立案・実行経験が少ない場合がある

  • ツール導入・活用に不慣れな場合がある

適したケース

  • システム全体のパフォーマンスを継続的に改善・向上させたい場合、または新規システムのパフォーマンスを最適化したい場合

  • 既存システムの範囲内で、限定的なパフォーマンス改善を行いたい場合

既存システムの範囲内で限定的なパフォーマンス改善を行いたい場合は、インフラエンジニアが適任です。
例えば、データベースのパラメータ調整やサーバーリソースの増強など、既存のインフラの範囲内での改善が可能です。

一方、システム全体のパフォーマンスを継続的に改善・向上させたい場合、または新規システムのパフォーマンスを最適化したい場合はSREエンジニアが適任です。
SREエンジニアはパフォーマンス分析ツールや手法に精通し、自動化による継続的なパフォーマンス改善を実現します。
また、開発チームと連携することでシステム設計段階からパフォーマンスを考慮した開発を行い、根本的な解決策を提供できます。

課題③システムをスケールさせたい

ビジネスの成長に伴い、システムへの負荷も増加します。
将来的な拡張性を見据えて柔軟にスケールできるシステムを構築することがビジネスの成功には不可欠です。
システムのスケーリングには様々なアプローチがあり、それぞれに適したスキルと経験が必要です。

項目

SREエンジニア

インフラエンジニア

メリット

  • クラウドネイティブ技術への理解が深い

  • 自動スケーリングの設計・実装が可能

  • パフォーマンス監視と最適化による効率的なスケーリング

  • ハードウェアの知識が豊富

  • スケールアップによる対応が可能

  • 比較的低コスト

デメリット

  • 採用コストが高い

  • 高度なスキルを持つ人材が少ない

  • スケールアウト等の柔軟な対応が難しい場合がある

  • クラウド環境への対応経験が少ない場合がある

適したケース

  • 将来的な拡張性を見据えたスケーラブルなシステムを構築したい場合、またはクラウドネイティブ技術を活用したスケールアウトを実現したい場合

  • 一時的な負荷増加への対応、または小規模なスケールアップで対応可能な場合

一時的な負荷増加への対応、または小規模なスケールアップで対応可能な場合はインフラエンジニアでも対応可能です。
例えば、サーバーリソースの増強やロードバランサーの導入など、既存のインフラの範囲内でのスケールアップが可能です。

一方、将来的な拡張性を見据えたスケーラブルなシステムを構築したい場合、またはクラウドネイティブ技術を活用したスケールアウトを実現したい場合はSREエンジニアが適任です。
SREエンジニアは、クラウドネイティブ技術への理解が深く自動スケーリングの設計・実装が可能です。
また、パフォーマンス監視と最適化により、効率的なスケーリングを実現します。

課題④開発チームと運用チームの連携を強化したい

開発と運用の連携不足は、開発スピードの低下やシステムの不安定化を招きビジネス成長の阻害要因となります。

項目

インフラエンジニア

SREエンジニア

メリット

  • 運用に関する深い知識と経験

  • 安定稼働に特化したノウハウ

  • 開発と運用の橋渡し役

  • DevOpsの推進力

  • 自動化による連携強化

  • 開発プロセスへの深い理解

デメリット

  • 開発プロセスへの理解が不足している場合がある

  • DevOpsの経験が少ない場合がある

  • 採用コストが高い

  • 高度なスキルを持つ人材が少ない

適したケース

  • 運用チーム内での連携強化、または開発チームとの連携においても、密なコミュニケーションを積極的に行う体制が整っている場合

  • 開発チームと運用チームの連携強化

  • DevOps推進

  • 迅速な開発サイクルの実現

インフラエンジニアでも開発チームとのコミュニケーションを密にすることで連携強化は可能です。
しかし、SREエンジニアは開発と運用の両方のスキルと経験を持ち、DevOpsの推進や自動化による効率化も得意とするため、より効果的かつスムーズな連携強化を実現できます。

より迅速で安定したシステム開発・運用を目指すのであれば、SREエンジニアの採用を検討するのが良いでしょう。

課題⑤自動化を進めて運用コストを削減したい

運用コストの削減はビジネスの効率化に直結する重要な課題です。
手動で行っていた作業を自動化することで、人件費や時間的コストを削減しリソースをより重要な業務に集中させることができます。

項目

SREエンジニア

インフラエンジニア

メリット

  • 開発スキルを活かした自動化能力

  • 自動化ツールに関する豊富な知識と経験

  • 継続的な改善による運用効率の向上

  • 既存システムの運用に関する深い知識

  • 安定稼働を重視した運用ノウハウ

デメリット

  • 採用コストが高い

  • 高度なスキルを持つ人材が少ない

  • 自動化スキルが不足している場合がある

  • 新しいツール導入への抵抗がある場合がある

適したケース

  • 大規模な自動化を推進したい場合

  • クラウドネイティブ技術を活用した自動化を実現したい場合

  • 継続的な自動化と運用コスト削減を目指したい場合

  • 既存システムの範囲内で、限定的な自動化を行いたい場合

インフラエンジニアでも、シェルスクリプトなどを活用することである程度の自動化は可能です。
しかし、SREエンジニアは開発スキルを活かした高度な自動化、クラウドネイティブ技術を活用した自動化、そして継続的な改善による運用効率の向上を実現できるため、より効果的な運用コスト削減に繋がります。

より積極的な自動化と継続的な運用コスト削減を目指すのであれば、SREエンジニアの採用を検討するのが良いでしょう。

フリーランスのSRE・インフラエンジニアを活用するメリット    

フリーランスのSRE・インフラエンジニアを活用することで、企業は様々なメリットを得ることができます。
特に、変化の激しいIT業界においてはその柔軟性専門性の高さが大きな武器となります。

関連記事:インフラエンジニアの需要が高い理由と優秀な人材の獲得方法を解説

即戦力を確保できる

フリーランスのSRE・インフラエンジニアは、多くの場合、特定の分野で高度なスキルと豊富な経験を持っています。
そのため、採用後すぐにプロジェクトに投入でき即戦力として活躍することが期待できます。
時間のかかる研修や教育が不要なため、プロジェクトの立ち上げをスムーズに進めることができます。

コスト効率が良い

フリーランスは、正社員と比較して社会保険料や福利厚生費などの固定費がかかりません。
必要な期間だけ契約することで人件費を最適化し、コスト効率を高めることができます。
プロジェクトの規模や予算に合わせて柔軟に人材を確保できるため、無駄なコストを削減できます。

契約期間が柔軟

フリーランスとの契約期間は、プロジェクトの期間に合わせて柔軟に設定できます。
短期的なプロジェクトや一時的な人員補充が必要な場合でも、必要な期間だけ契約することで効率的に人材を活用できます。
また、プロジェクトの進捗状況に合わせて契約期間を延長することも可能です。

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橋本貴裕
記事を書いた人
橋本貴裕

インフラエンジニア兼Webライター。金融業界の汎用機系エンジニアとしてキャリアをスタート。その後Web系システムのクラウド分野に転向し独立。本職の傍らSEOを学び、ライティングやディレクションの一部業務も経験。得意分野はAWS。