SREの関連資格を徹底調査!人材採用時の有用性も解説

SREの関連資格を徹底調査!人材採用時の有用性も解説

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SREの導入を検討する企業にとって、適切な人材の確保は大きな課題です。
特に、自社のインフラエンジニアがSREの役割を担えるのか、あるいは外部から専門人材を採用すべきか判断に迷うケースも少なくありません。

SREに関連する資格は、エンジニアのスキルや適性を見極める上で有効な指標の一つです。
しかし、資格が実務にどの程度役立つのか、採用時にどのように活用すべきかを正しく理解することが重要です。

本記事では、現役インフラエンジニアである筆者がSREに関連する主要な資格とその有用性を詳しく解説し、最適な人材確保の方法についてもご紹介します。
SRE人材の効果的な採用活動にお役立ていただければ幸いです。

SREとは?企業における重要性

現代ビジネスにおいて、システムの安定稼働は事業継続の要です。
しかし、複雑化するシステムと増大する運用負荷は、従来の運用体制では対応しきれなくなりつつあります。
そこで注目されるのがSREです。
この章では、SREの定義と役割、企業にとってSREが重要視される背景について解説します。

関連記事:SREとは?導入のメリットやインフラエンジニアとの関係性を解説

SREの定義と役割

SRE(Site Reliability Engineering)とは、Googleが提唱した新しいシステム運用アプローチです。
従来の運用担当とは異なり、ソフトウェアエンジニアリングの考え方を使ってシステムの信頼性、パフォーマンス、スケーラビリティ(拡張性)を向上させる役割を担います。

具体的には、システムの監視、障害対応、パフォーマンス改善、キャパシティプランニング(容量計画)、そして自動化といった業務をコードやツールを活用して効率的に行います。

SREはシステムを安定稼働させるだけでなく、開発チームと連携してサービスの進化をサポートする重要な役割も担います。

SREが求められる背景

現代のビジネスでは、システムが止まると事業継続が難しくなります。
つまり、システム障害は顧客離れや収益減、ブランドイメージの低下など深刻な問題につながります。

一方で、ビジネスの成長に伴いシステムは複雑化し、運用負荷も増大しています。
従来型の運用体制では増え続ける負荷に対応しきれず、システムの安定稼働を維持することが難しくなってきているのです。

このような状況下で、ソフトウェアエンジニアリングの専門知識を活用し、システムの信頼性と運用効率を向上させるSREへの期待が高まっています

SREに関連する主要な資格 

SREを実現するためには、適切なスキルをもつ人材が当然必要です。
SREに関連する資格を理解することはSRE導入に必要なスキルセットを把握し、適切な人材を採用するうえで役立ちます。
ここでは、SREに関連する主要な資格をカテゴリ別にご紹介します。

関連記事:ITインフラ業務におすすめの資格11選!取得へのロードマップ・仕事内容・即戦力の採用方法も紹介

クラウドプラットフォーム別の資格

クラウドプラットフォームはSREの実践において重要な要素であり、各プラットフォームに関する専門知識はSREの成功に直結します。
主要なクラウドプラットフォームであるAWS・Microsoft Azure・GCPそれぞれの関連資格を見ていきましょう。

AWS(Amazon Web Service)

以下は、AWSにおけるSRE関連資格5選です。

資格

内容

AWS Certified
DevOps Engineer – Professional

AWS環境におけるDevOpsの実践と、高度なシステム構築・運用スキルを証明します。
自動化、監視、パフォーマンス最適化などのSRE実践に必要なスキルを網羅しています。

AWS Certified
Solutions Architect – Professional

AWSを用いたスケーラブルで高可用性、フォールトトレラントなシステム設計能力を証明します。
SREの要件であるシステムの信頼性確保に直結する知識が問われます。

AWS Certified
SysOps Administrator – Associate

AWSプラットフォームの運用、監視、トラブルシューティングスキルを証明します。
安定したシステム運用に不可欠なスキルを評価し、SREチームへの適性を判断する材料となります。

AWS Certified
Security – Specialty

AWS環境におけるセキュリティの専門知識とベストプラクティスの理解を証明します。
SREにおいてセキュリティは重要な要素であり、この資格はセキュリティに関する深い理解を示します。

AWS Certified
Advanced Networking – Specialty

AWS上での高度なネットワーク設計・運用スキルを証明します。
複雑なネットワーク環境におけるトラブルシューティング能力など、SREに必要とされる高度なネットワークスキルを検証します。

関連記事:インフラエンジニアが扱うAWSの仕事内容とは?代表的なサービスも紹介

Microsoft Azure

続いて、以下はMicrosoft AzureにおけるSRE関連資格5選です。

資格

内容

Microsoft Certified:
DevOps Engineer Expert

Azure環境でのDevOpsの実践能力と、システムの信頼性・パフォーマンス向上スキルを証明します。
SRE実践に必要な自動化、監視、パフォーマンス最適化などのスキルを網羅しています。

Microsoft Certified:
Azure Solutions Architect Expert

Azureを用いたスケーラブルで安全なソリューションの設計・実装スキルを証明します。
SREが求める高可用性、耐障害性などを備えたシステム設計能力を評価できます。

Microsoft Certified:
Azure Administrator Associate

Azureリソースの管理、監視、セキュリティ確保に関するスキルを証明します。
Azure環境の運用管理スキルはSREにとっても重要であり、この資格は基礎的なスキルの保有を証明します。

Microsoft Certified:
Cybersecurity Architect Expert

Azure環境におけるセキュリティ設計・実装・管理の専門知識を証明します。
SREにおいて重要なセキュリティ対策に関する高度な知識を有していることを示します。

Microsoft Certified:
Azure Network Engineer Associate

Azureのネットワークインフラストラクチャの設計・実装・管理スキルを証明します。
Azure環境におけるネットワークの安定運用、トラブルシューティング能力などを評価できます。

GCP(Google Cloud Platform)

最後は、GCPにおけるSRE関連資格5選です。

資格

内容

Professional Cloud DevOps Engineer

Google Cloud で信頼性の高いサービスを構築、デプロイ、管理するスキルを証明します。
SREの中核となるDevOpsの原則に基づいたシステム運用スキルを検証します。

Professional Cloud Architect

Google Cloud 上でソリューションを設計・開発・管理する高度なアーキテクチャスキルを証明します。
SREの視点でシステム全体の設計を理解し、最適化できる能力を示します。

Associate Cloud Engineer

Google Cloud でソリューションをデプロイ、監視、管理する基本的なスキルを証明します。
Google Cloud環境におけるSRE実践のための基礎スキルを有していることを示します。

Professional Cloud Security Engineer

Google Cloud 上で安全なインフラストラクチャとアプリケーションを保護するためのスキルを検証します。
セキュリティに関する専門知識と、Google Cloud でのセキュリティベストプラクティスの実践能力を示します。

Professional Cloud Network Engineer

Google Cloud のネットワークインフラストラクチャを設計・実装・管理するスキルを証明します。
複雑なネットワーク環境を管理し、SREに必要なネットワークスキルを有することを示します。

コンテナ・インフラ自動化に関する資格

SREにおいては、コンテナ技術やインフラの自動化が不可欠です。
これらの技術を活用することでシステムのデプロイや管理を効率化し、信頼性を向上させることができます。

Kubernetes関連資格

Kubernetesはコンテナオーケストレーション(コンテナ化されたアプリケーションの管理を自動化・簡素化すること)の主要なツールであり、SREの実践において広く利用されています。
Kubernetes関連資格は、SREエンジニアのスキルセットを評価する上で非常に重要です。

資格

内容

Certified Kubernetes
Administrator (CKA)

Kubernetesクラスターのデプロイ、設定、管理に関するスキルを証明します。
クラスターの運用、トラブルシューティング、メンテナンスなど、SREに必要なKubernetes運用スキルを網羅的に証明します。

Certified Kubernetes
Application Developer (CKAD)

Kubernetes上でアプリケーションを開発、デプロイ、管理するためのスキルを証明します。
コンテナ化されたアプリケーションのライフサイクル管理・リソース管理・セキュリティ確保など、SREと連携する開発スキルを証明します。

Certified Kubernetes
Security Specialist (CKS)

Kubernetesのセキュリティに関する専門知識とベストプラクティスを証明します。
クラスターのセキュリティ強化、脆弱性対策、コンプライアンス対応など、SREにおいて重要なセキュリティスキルを証明します。

ネットワーク・OS管理に関する資格

SREはシステム全体を理解する必要があり、ネットワークやOSに関する知識も重要です。
基盤技術に関する資格は、SREエンジニアの基礎スキルを評価する指標となります。

ネットワーク系

ネットワークの安定稼働はシステム全体の信頼性に直結するため、SREにとってネットワークスキルは重要な要素です。
以下の資格は、ネットワークに関する専門知識を有することを証明します。

資格

内容

Cisco Certified
Network Associate (CCNA)

ネットワークの基礎知識とルーティング、スイッチング、セキュリティなどの基本的なスキルを証明します。
ネットワーク技術の基礎を理解していることを示し、SREに必要なネットワークスキル習得の土台となる資格です。

Cisco Certified
Network Professional (CCNP)

エンタープライズレベルのネットワーク設計・実装・運用、トラブルシューティングに関する高度なスキルを証明します。
SREにおいて複雑なネットワーク環境を管理する能力を評価できます。

CompTIA Network+

ネットワーク技術の全般的な知識とスキルを証明します。
ベンダーニュートラルな資格であり、幅広いネットワーク技術への理解を示すことができます。
SREに必要なネットワークの基礎知識を有していることを示す指標となります。

OS系

OSはシステムの基盤となる重要な要素であり、SREにはOSに関する深い知識と運用スキルが含まれます。
以下の資格は、OSの管理・運用に関するスキルを証明するものです。

資格

内容

LPIC-1/LPIC-2/LPIC-3

Linuxシステムの管理・運用に関するスキルを段階的に証明する資格です。
レベルに応じて、SREに必要なLinuxスキルを有することを示します。
LPIC-3は、SREにおいて特に重要なシステムアーキテクチャ設計やトラブルシューティング能力を検証します。

Red Hat Certified System Administrator (RHCSA)/
Red Hat Certified Engineer (RHCE)

Red Hat Enterprise Linuxの管理・運用に関するスキルを証明します。
RHCSAは基本的なシステム管理スキルを、RHCEはより高度なシステム管理スキルを検証し、SREに必要なLinuxスキルを評価できます。

Microsoft Certified: Windows Server Hybrid Administrator Associate

Windows Server環境の管理・運用、ハイブリッドクラウド環境への統合に関するスキルを証明します。
Windows Server環境におけるSRE実践に必要なスキルを有することを示します。

SRE関連の資格の有用性

SRE人材の確保は容易ではありません。
SRE関連資格は、候補者のスキルセットを客観的に評価するための有効なツールとなります。

SRE関連の資格が評価に役立つ理由

SRE関連資格は、単なる知識の詰め込みではなく、実践的なスキルを習得していることを示す指標となります。
資格取得者は、体系的な学習を通してSREに必要な知識を習得し、実務で活かせるスキルを身につけている可能性が高いと言えます。

また、資格保有者は学習意欲が高く、自己研鑽に励む姿勢をもっていると判断できます。
これは、常に変化する技術トレンドに対応していく必要があるSREにとって重要な要素です。

SRE人材の採用における資格の活用法

SRE人材の採用において、資格は応募者のスキルセットをスクリーニングする際の有効な基準となります。
ただし、資格はあくまで判断材料の一つであり、実務経験やパーソナリティなども総合的に評価することが重要です。

資格の種類によっては特定のクラウドプラットフォームや技術に関する深い知識をもっていることを示すため、自社の環境に適した人材を選定する際に役立ちます。

また、資格取得を推奨することで既存のエンジニアのスキルアップを促進し、社内でのSRE人材育成を図ることも可能です。

SREのスキルセットと適正

SREに必要なスキルは資格で示されるものだけではありません。
SREとして成功するには、技術的なスキルに加えて特定の適正も重要になります。

資格以外で求められるスキルセット

SREには、技術的なスキルに加えてコミュニケーション能力や問題解決能力など、幅広いスキルセットが求められます。

スキル

内容

問題解決能力

複雑なシステム障害の原因を特定し、迅速に解決策を導き出す能力。
SREはシステムの安定稼働を守る重要な役割を担っており、迅速かつ正確な判断が求められます。

コミュニケーション能力

開発チームやビジネスチームと円滑にコミュニケーションを取り、協調性をもって業務を進める能力。
SREはさまざまなチームと連携して業務を進めるため、良好な人間関係を築くことが重要です。

分析力

システムのパフォーマンスデータを分析し、ボトルネックを特定して改善策を提案する能力。
システムの改善はデータに基づいて行われるため、分析力はSREに不可欠なスキルです。

インフラエンジニアのSRE適正

既存のインフラエンジニアは、SREに必要なスキルセットの一部を既に保有している可能性があります。
特に、システム運用経験やインフラストラクチャに関する知識は、SREチームにとって貴重な財産となり得ます。
社内のインフラエンジニアにSREの役割を担ってもらうことを検討する際には、以下の適性を考慮すると良いでしょう。

  • への関
    繰り返し行う作業を自動化することに興味をもち、積極的に取り組む姿勢。
    SREは自動化を重視するため、この姿勢はSREチームへの適応をスムーズにします。

  • 開発への理解
    ソフトウェア開発のライフサイクルや開発チームとの協調性。
    開発チームとの連携はSREの重要な要素であるため、開発プロセスへの理解が非常に重要です。

  • 新しい技術への好奇心
    新しい技術を学ぶことに意欲的で、常にスキルアップを目指す姿勢。
    技術は常に進化するため、新しい技術への好奇心と学習意欲はSREとして成功するために重要です。

  • 問題解決への意欲
    困難な課題にも積極的に取り組み、解決策を見つけるまで諦めない姿勢。
    SREは複雑な問題に直面することが多いため、問題解決への意欲は不可欠です。

関連記事:【一覧表】インフラエンジニアに求めるスキル15選!資格も紹介

SREを担うインフラエンジニアの採用方法

上述のように、インフラエンジニアはSREと親和性の高いスキルや適性をもっているため、SRE人材の有力な候補となります。
SRE導入にあたっては、インフラエンジニアを採用するのも1つの手段です。

採用方法は大きく分けて正社員とフリーランスの二種類があり、それぞれの特徴を理解して自社にとって最適な方法を選択することが重要です。

関連記事:インフラエンジニアの人手不足を解消する優秀な人材の獲得方法を徹底解説
関連記事:SREエンジニアとは?インフラエンジニアとの違いを詳しく解説!

正社員採用

正社員採用は、長期的な視点でSREチームを構築する場合に適しています。
社内文化への浸透や、長期的なスキル育成が期待できます。
一方で、採用コストや育成期間、人材確保の難しさといった課題も存在します。

関連記事:インフラエンジニアの採用が難しい理由と優秀な人材を獲得する方法を解説

フリーランスの活用

フリーランスの活用は、即戦力となるSRE人材を迅速に確保したい場合に有効です。
必要なスキルをもつ人材をピンポイントで採用でき、プロジェクトの進捗に合わせて柔軟に人員調整を行うことができます。

フリーランス活用でSRE人材確保の課題を解決

フリーランスを活用することで、SRE人材確保におけるさまざまな課題を解決できます。
SREは比較的新しい分野であり、専門知識と経験をもつ人材は限られています。
そのため、正社員採用では求めるスキルセットをもつ人材を見つけ出すことが難しい、あるいは採用コストが高額になるといった課題が生じがちです。

一方、フリーランスを活用すればSRE経験をもつ即戦力人材にアプローチしやすいため、迅速かつ効率的にSREチームを構築できます。
具体的には、以下のようなメリットがあります。

  • 採用スピード
    正社員採用に比べて、迅速に人材を確保できます。

  • 専門スキル
    特定の技術に特化した専門人材を確保できます。
    特に、Kubernetes、クラウドセキュリティ、DevOpsなどのSREで必要とされる
    ニッチなスキルをもつ人材を見つけやすい点がメリットです。

  • コスト削減
    採用コストや教育コストを削減できます。

  • 柔軟な人員調整
    プロジェクトの規模や状況に合わせて、柔軟に人員調整が可能です。
    SREのニーズは変化しやすいため、この柔軟性は大きなメリットとなります。

フリーランスであれば、豊富な経験と専門知識をもつ人材にアプローチできるためSRE導入をスムーズに進めることができます

関連記事:インフラエンジニア案件をフリーランスに業務委託する方法とメリットを解説

SREを担うインフラエンジニアの採用ならクロスネットワークがおすすめ

ここまで、SREの重要性と関連資格、そしてSREに適した人材について解説してきました。
SRE導入を成功させるには、適切な人材の確保が重要であることをお分かりいただけたと思います。
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橋本貴裕
記事を書いた人
橋本貴裕

インフラエンジニア兼Webライター。金融業界の汎用機系エンジニアとしてキャリアをスタート。その後Web系システムのクラウド分野に転向し独立。本職の傍らSEOを学び、ライティングやディレクションの一部業務も経験。得意分野はAWS。